Admin New entry Up load All archives

    Tsuruki Jun<鶴木遵>の原風景 《絶対零度》

    鶴木遵の本、新しい挑戦、趣味である競馬、将棋の駒、男の手料理、めだかやミジンコ飼育、犬猫のよもやま話、など四季折々に感じたことを発信していきます。

    2017 阪神ジュヴェナイルF~阪神・芝1600m 

    DSCN2463 - コピー

    ゴール前の坂。
    ホームストレッチを先に抜け出した川田リリーノーブルをめがけて、外から石橋脩がまるで狂ったように一心不乱にラッキーライラックを追った。

    追って追って追いまくった。その手綱の叫びに答えるようにラッキーライラックはグィッと伸び切った。そこがゴールだった。
    種牡馬オルフェーブルの初年度産駒が2歳最初のG1を制覇した記念すべき瞬間である。


    いつものように木曜夜にGCの「今週の調教」で最終追い切りを録画して、私自身はスタンバイしていたが、土曜までそれを見なかった。本音を言うと、2歳牝馬のチャンピオン決定戦だったが、どうもまだ勢力図そのものがはっきりとせずに、確かな推理の自信が少しも持てなかったからである。一番先にデビューした馬であったとしてもまだ5か月ほどなのだから当然と言えば当然なのだが。

    気分を切り替えて、じっくりと最終追い切りを見たのは土曜の午後。真剣に見終えて、私の結論には迷いがなかった。
    もっともよく見えたのがラッキーライラック。その気配からは自然とオーラのようなものが漂っているように感じられた。軸はこの馬だと、即座に決めた。唯一の不安は騎手石橋脩がここ5年ほど(正確には2012春天皇賞ビートブラックとの初G1制覇以来)G1勝利を果たしていないということだったが、最近の騎乗には安定感を増している成長感のある騎手だから問題ないと踏んだ。ここらで日本人騎手の存在感を示して欲しいとも願ったのだ。(今、騎手界は相撲におけるモンゴル勢のように、西欧の騎手たちに席巻されている)

    ルメール騎乗のロックディスタンスもそれなりの気配だけは示していたが、牡馬を駆逐した札幌2歳S以来のぶっつけ本番というのがどうしても気懸りで(トライアル戦を使わなかったのではなく、使えなかったのではないかと読んだからだ)、このレースで軸にするのは嫌だった。大外18番枠も不利だろうし、オルフェーブル産駒の上位独占というのも出来過ぎた話だと思えたのだ。だから相手馬の1頭に加えるだけの評価にした。

    趣味で選ぶのなら、何と言ってもブエナビスタの仔福永ソシアルクラブ。もし福永祐一が直線で弾けさせる騎乗ができたならと、半分は願望を込めて期待した。

    他に気配を良く感じたのは、川田リリーノーブルに、戸崎マウレア。結構人気サイドの選択だったから、とっておきの穴馬に小牧グリエルマに注目した。何となくこの馬なりに好状態に思えたからだ。

    「乗り手がビシビシと促さなくても、馬が自然と走りたい状態になっていること」 それが走る様子からうかがえる馬を、私は私自身の主観で選んでいるのだが、ここ最近はいつもは邪な心を抑えて冷静に判断しているのか、どうも選んだ馬たちが頑張ってくれているようだ。

    私は所謂「予想家」ではないから(決められた時間に結論を出すのは無理で、ときにはレース直前の返し馬まで推理を粘ることさえある)、ブログの事後報告で何があったか私自身の時間経過をレポートしているだけだが、だからこそ長続きしているのかも知れない。
    もしそんな仕事依頼があったなら?って?それはそのとき考えますです、ハイ。(ついでですから、かつて伊藤雄二元調教師に聞いた走るダート馬についてひとつ参考になるヒントをお教えしておきましょうか。今日は芝のレースですが、いずれのために。追い切りや返し馬で確認してください。前脚のスナップの効いた走りをする馬が走るダート馬ですよ。エッ⁉そんなことは判らない?ならば判るまで馬を見続けて下さいませ)

    ともあれラッキーライラックから選んだ馬は5頭。これでは私には多すぎるのだが、ロックディスタンスもマウレアもグリエルマも、ほんのわずかな抑えにして、リリーノーブルとソシアルクラブを相手本線なら、まだ小学生の低学年の女の子の徒競走の様な2歳戦
    でもあるし、まあいいかと思って実行した。馬連の他に、枠連4-6の1点だけは、万が一ソシアルクラブが超大物ならと好奇心半分で余った軍資金から追加した。

    スタートして、隊列が決まったときには、石橋ラッキーライラックは好位の後ろの外(中団の前とも言えます)で、いつでも馬群を抜けられる態勢を築いていた。ここで勝負あったなと判断したほどである。

    ロックディスタンスは道中3番手辺りを確保して挑んでいたが、伸び切れなかった。久々だった所為なのか特性が平均ペースの長距離にあるということなのか、はっきりとした原因は判らないが、馬群に沈んだのは紛れもない事実である。

    直線でスッと馬群を早めに抜け出して最後まで踏ん張ったリリーノーブルも、良い脚力を持った好素質の馬だった。

    マウレアは最終最後に外から伸びて3着を確保した。

    結果からすれば、ロックディスタンスを除いた馬たちの人気通りの決着ということになる。
    しかしホームストレッチの石橋・川田の攻防は見応えがあった。特にラッキーライラックの脚力を測ったように追って伸ばし切った石橋脩の騎乗は、本人がその価値の本当の意味を理解していたなら、さらに大きく浮上する契機となるだろう。

    おそらく石橋脩は、体当たりで勝った12年春の天皇賞以上の騎手としての成果を、このレースでつかみ切ったと言える。今後の活躍を見守りたい騎手である。





    category: 競馬

    CM: 0 TB: 0   

    2017 チャンピオンズC~中京:ダート2000m 

    埴輪馬
                    
    夕刻から歩き過ぎたJCの東京競馬場観戦の疲れが、まだ完全には抜けきれず週末になっても頭がボーッとして慢性睡眠不足状態のようだった。

    チャンピオンズCというのは、かつてのJCダートの変化したJRA競馬年度後半戦のチャンピオン決定戦となっている。とは言え、暮れの大井・東京大賞典があり、ダート馬の日本1決定戦は、どちらかと言えば地方中央の精鋭が集まるこちらの方かなというイメージはぬぐえない。JCダートの名称を変更したために位置付けは曖昧になったままである。

    で、あまり真剣にならず、木曜深夜の最終追い切りを見て、ピーンときた3頭をピックアップして、日曜の午後に投票しておいた。

    選んだのは、内から田辺コパノリッキー、ボウマン:グレンツェント、ムーア:ゴールドドリーム。
    上り馬古川テイエムジンソクも、古豪大野サウンドトゥルーにも敢えてこの日は興味を持たず、何となくこれだけ先行馬が揃えば、逆に暴走の先行馬はいなくなってペースはそれなりに落ち着くと読んで、ならば先行するコパノリッキーを直線で、ゴールドドリームかグレンツェントが差し込んでくると、いろいろ難しく考えることはやめた。

    アルバートでステイヤーズS3連覇を決め、調子を本格化し始めたムーアと、JCの覇者ボウマンに、中京に処を変えても逆らう気が起きなかったのも事実である。
    でも、世論が作るオッズでは、ムーアは8番人気、ボウマンは10番人気、田辺コパノリッキーは距離が長いとみられたのか9番人気で、この3頭の組み合わせは相当なロングショットで、不思議なほどだった。

    ゴール前、逃げた田辺コパノリッキーがインで粘っていた。
    ゴール直前まで粘り抜いて、なかなか古川テイエムジンソクは交わせなかった。

    そこに狙い澄まして、ムーア:ゴールドドリームが追い込んできた。
    コパノリッキーが粘り抜いたならと思った瞬間に、テイエムジンソクが交わしたが、それより前にムーア:ゴールドドリームが突き抜けていた。

    1着ゴールドドリーム。首差で2着がテイエムジンソク。さらに首差で3着コパノリッキー。4着以下は差が開いた。ボウマン:グレンツェントは好位を進んでいて直線でたれてしまったが、個人的に狙った馬が2頭、万馬券の組み合わせでゴールイン寸前まで楽しませてくれた。
    昼過ぎに投票して、結果はあわや万馬券のレースを観劇料程度で熱く楽しめたのだから良しとしようか。

    今月は、24日クリスマスイブの有馬記念で終わりではなく、何と28日に2歳G1ホープフルS、29日に東京大賞典が開催される。体力温存が必須事項である。







    category: 競馬

    CM: 0 TB: 0   

    2017 JC~東京・芝2400m H.ボウマン「教科書通りの正攻法競馬」 

             キタサンブラックキタサンブラック

    いつもの通り東京競馬場に着いたのは11時頃。
    人波にもまれながらスタンドを横切り、東来賓受付から8階ダービールームに向かう。
    と、いつものメンバーが揃っていた。微笑やかに挨拶を交わして着席。思うところがあってこの1週間タバコを止めていたが、タバコの買えない競馬場で頭の中がイライラするのを避けようと、駅で1週間振りに一箱買ってしまい、いざ出陣と心の準備は整えたが、買った後には、己の意志の弱さを悔やんでもいた。せっかく1週間も我慢していたのにと。でも止めるときに止められる自信を得たのだからと、都合良く自己納得してもいた。私の本質は、意志の弱い人間なのかも知れないが、あまりに禁煙にムキになるのも不自由だと感じるおおらかさを持っているのだ。

    ワイワイ言いながら、山暮らしの日常とは違う賑やかな部屋の雰囲気に、今日は軍資金が多少少なかったこともあって心から馴染めず、そんな心境からだったろうが、ついペースを乱して5Rから競馬に参加してしまった。これも柄にもなくタバコを止めていた影響だろうか?

    所沢までのレッドアローの中で、実は今日の9Rと10Rは新聞を広げて眼を通していた。閃いてもいた。
    共に馬連3点のボックス予想で、9Rは、ルメール、ムーア、デムーロの外国人騎手の揃い踏み、10Rはボウマン、戸崎、ムーアを調教欄から選び出していた。
    だからきちんと選んだレースだけに手を出したなら、いつものマイペースだったのだが、肝心のJCでは、ボウマンが乗って馬が走る気を示していたシュヴァルグランや、ルメールが調教で馬の気配を引き出していたレイデオロも、いつものように黒岩悠が馬を仕上げたキタサンブラックを外してみようと思っていたので、どうも平常心を失っていたのかも知れない。

    シュヴァルグランやキタサンブラックを今日は応援しないと決めたのは、どうもオーナーサイドの濃い目の顔が馬よりも先に浮かんできて、あまり幸運を独占するなよなという庶民の意固地だったろうし、レイデオロはダービー馬だがまだ古馬の一線級とは闘っていなかったので、それならここ2戦古馬にもまれる体験を重ねた負担重量53Kgのソウルスターリングに期待してみるかと思ったのだった。

    で、時間つなぎを兼ねて、つい5Rから手を出してしまったのだ。
    しかし競馬場当日のテーブルで直感するだけの推理では、結果は惨敗。デムーロを狙えば2度も彼が消え、穴狙いの横山武史を狙い撃つと7着8着、世界のムーアにすがると4着。8Rまで4連敗。それでなくても今日は多少軍資金の心配があったのに、全てが裏目にでた。

    結果、レッドアローの車内できちんと眼を通した9Rは、リズムを変えようと見した次第。ケンとは購入しないでレースを見守ることだ。
    見守ると、それが予想通りになるのも裏目のときの常法である。デムーロ、ムーア、ルメールの揃い踏みで、馬連は14倍ほどだった。

    こんな流れに顔は蒼ざめ始めたが、エエイ、ヤーッと清水の舞台から飛び降りるように覚悟を決めて、今朝の予想通りに10Rをパドックも見ないで馬連3点と3連複1点買いをした。もはや捨て身の攻撃態勢である。

    勝負の神様は、こんな私を見放さなかった。戸崎、ボウマン、ムーアの順にゴールインして、何と馬連が90倍、3連複は約40倍となったのである。大観衆が集う大レースの日は、人気が一方的に偏って思わぬ高配当となることがある。

    いやはやと表情に血の気を戻した私は、だから判らぬレースに手を出さずにおとなしくしていて、狙えるレースだけに参加すればいいのだと、改めて自省して、JCを迎えることになった。

    パドックをしっかりと見て、プラス分を(今宵の酒席分だけ残して)JCにつぎ込もうと決めた。おー、忍耐の果ての幸せなJC・・と、さっきまでの不安な気持ちはもはや吹っ飛んでいた。だから「捨て身」は意味があるのだ。

    JCのパドック。シュヴァルグランもレイデオロも落ち着いて歩いていた。キタサンブラックは、私の眼には大雨の天皇賞のときの方が気配は良かったと思えてならなかった。あの日も、できることなら外そうと考えていたが、気配の良さに外せなかったのだ。そのときよりも少ししぼんで見えた。
    私がこれまでの好みで選んでいたのは、多少気負いを見せていたソウルスターリングにサトノクラウンとわずか2勝で総賞金4億7千万を稼ぎ出したサウンズオブアースだった。外見的には不調な様子は見受けられなかったが、ゴール前に最後に力まで振り絞った秋・天皇賞の疲労はサトノクラウンには残っていたのだろう。サウンズオブアースは生涯のピーク期をもう過ぎてしまっているのかも知れない。ただこれはレースを終えての結果論で、パドックでは判らなかったというのが事実である。

    スタートして、武豊キタサンブラックが先頭に立つ。キタサンブラックはこれまで前半3Fを37秒台で乗り切っていったときに絶賛すべき力量を発揮してきた馬だ。しかしこの日のレースでは前半3F35秒2。キタサンブラックにはオーバーペースだったと思う。37秒で他馬を委縮させる威圧感を生み出したことが、実はキタサンブラックの強さの秘訣だったのである。

    かつて騎手岡部幸雄はかのシンボリルドルフの全盛期の頃、
    「競馬はね、他馬を完膚なきまでに負かすことが必要なんだよね。次には何とかなると思わせてしまったらダメなんだ」
    と、私の取材のときに答えてくれたことがある。春の宝塚記念での敗戦は、秋・天皇賞馬の威厳をも、あれは歴史的な重馬場だからこそできた僥倖と思わせてしまっていたのかも知れない。

    道中、武豊キタサンブラックは息を入れる余裕を持てなかった。
    2番手から、柴山雄一ディサイファが突っつくように絡んでいたからだ。楽をさせなかった2番手のこの動きは、先頭を走る馬にとっては必要以上にプレッシャーとなる。いかに強い名馬であっても生身のサラブレッドだからだ。

    昨年のJCでは、前半37秒2の流れを作って最後の3Fを34秒7で仕上げたキタサンブラックだったが、今年は前半35秒2の流れで最後は35秒3に失速した。

    ゴール前で3番手から追い込んだボウマン・シュバルグランは34秒7、5番手辺りから馬群を抜けたルメール・レイデオロは34秒6を計時していた。1秒にも満たない僅かな差が、勝負を勝者と敗者に分け隔つのだ。

    しかし敗者となったとしても、あの大雨の不良馬場を克服して今日もなお3着を確保したキタサンブラックの勝負根性は絶賛すべきだろう。ラストレースとなる有馬記念は中山の6つのコーナーを廻る。必然的に究極のハイペースは生まれにくいことになる。かつてオグリキャップの復活劇もスローな流れが生み出した。前半37秒のキタサンブラックにとってイージーな流れが生まれたら、おそらく結果はついて来るだろう。

    それにしてもボウマンの騎乗は素晴らしかった。道中インの4番手辺りをいとも簡単に確保して、直線で狙いすましたように抜け出してきた。まるで教科書の様な世界レヴェルの騎乗だったと言える。

    これまでのJCの歴史を紐解いてみると、勝利した外国人ジョッキーは、全て1流ジョッキーである。JCは、世界の1流ジョッキーでなかったら勝てないレースとも言えるのだ。今年、ボウマンと出会えた私たちは、競馬の大きな財産を得たのである。


    闘い終わって日が暮れた後、いろんな流れがあって、この日は4人で西国分寺の駅前で乾杯をした。あまりの大観衆がいっきに岐路に向かった時間で、競馬場近くの店はどこも満員御礼状態で入れず、それでも今日の競馬を語り尽きたいと願う4人(それは西国分寺から武蔵野線で秋津にむかう私と、中央線で帰れる桂文生師匠と女優李麗仙と文春の編集者Fの4人だった)は、知恵を使って西国分寺駅で途中下車してみたのである。
    これが大正解で、駅近くの満足できる酒場を見つけ、それから2時間半ほどの宴を十分に楽しんで、今日のJCを振り返った。

    10Rの配当で、JCは個人的に好きな馬を好きなだけ応援した私だったが、それでも少しのプラス分が残って、とても爽やかな気分で酔いに任せながらいつもの山暮らしに戻ったのである。











    category: 競馬

    CM: 0 TB: 0   

    2017 マイルCS~京都芝1600m またもやミルコ!!神様、仏様、ミルコ様! 

    由進作 左馬・幸運駒②

    11月19日。先週のエリザベス女王杯に続く快晴の京都競馬場。
    マイル路線を目標とする馬たちが揃ったが、私の結論には少しも迷いがなかった。

    このブログに眼を通してくれている方なら、私自身がエアスピネルとイスラボニータをずっと応援していたことをご存じだろう。
    それに、3歳の皐月賞2着馬ペルシアンナイトと、京都での適性実績が少しばかり気になるがサトノアラジンも抑えておこうと決めていた。武豊の路上キスや調教中の負傷が影響したのか、エアスピネルは直前にR.ムーアへの騎乗交替となってもいて、それでどんな走りを見せるか大いに興味もそそられていたのである。軸はこの馬だ!

    どう考えても、何のアクシデントもなかったなら、最後の直線ではムーア、デムーロ、ルメールの揃い踏みの叩き合いになるだろう。そこに川田将雅が差し届くかどうか。好位からエアスピネルとイスラボニータ、ペルシアンナイトはミルコの必殺技のイン攻撃か。サトノアラジンは直線いっきだろうが、坂のない京都ではトップギアに上げる勝負の瞬間をよほど的確に掴まないと追いすがれないだろう。午前中からレースの瞬間を楽しみにして過ごしていた。

    ところがである。昼前に急用の連絡があり、どうしても出かけなくてはならなくなった。できるものならトボケタイとも思ったが、浮世の義理でそういうわけにもいかない。とりあえずGCのレース録画を予約して、パドックも生(ナマ)で見られないなら、ほんの少しだけ購入しておいて、もし運良く間に合うようなら急いで家に帰って買い足すことに決めて、後ろ髪を引かれる思いで着替えて外出した。
    結局、用事は夕方過ぎまでかかり、家に帰りついて録画画面を見た。

    直線、ムーア・エアスピネルが抜け出し、ゴール前にイン攻撃から抜け出して来たデムーロ・ペルシアンナイトが迫って、エアスピネルが最終最後に脚勢を弱めた瞬間に差し切っていた。エアスピネルは強い競馬をしたが、G1にはほんの僅か届かなかった。
    ゴール前の攻防は見応えがあったと思う。

    この結果に、何故、よりによって今日、浮世の義理を果たしに出かけなくてはならなくなったのかと恨めしく、つくづく自分の運気の弱さを感じた次第である。タラレバだが、あのまま午後にゆっくりとレースを見守れたなら、納得できる勝負ができたのに・・・。ほんのチョイ抑えになってしまった・・・。誰を恨むのでもなく、ただただ運気の弱さを嘆くばかり・・・。

    まあ、こんな日もある。それもまた競馬の日々だろう。それにしても・・・。

    それにしてもはまだある。結果からすると、3歳馬は、ペルシアンナイトが勝ち、上り馬サングレーザーが3着、桜花賞馬レーヌミノルが4着で、5着はイスラボニータだったから、掲示板には3頭が名を連ねた。古馬がだらしなかったのか、3歳馬が強いのか、結論はもう少し後にしたい。

    今週末は、JC。ネクタイを締めて、いざダービールームへと、向かう予定である。
    急用が生まれたとしても、今週末はすっとぼける予定である。






    category: 競馬

    CM: 0 TB: 0   

    2017 エリザベス女王杯(京都・外回り芝2200m)~秋晴れの爽やかな空の下なのに・・・ 

    埴輪馬

    3頭が凌ぎ合いを示してゴールインした瞬間、私は声を上げた。
    「オイッ⁉」っと。
    「オオッ!!」でなかったのが、儚く辛いあるがままの現実だった・・・。


    10月のG1戦の晴れ舞台がずっと大雨に見舞われていたこともあって、この日京都で行われたエリザベス女王杯が爽やかな青空の下で開催されたのは、久し振りに幸福感を覚えるほどだった。

    集ったメンバーも3歳から5歳世代と、7歳のスマートレイアーまでの現時点での最強アマゾネスたちが揃って、秋晴れの良馬場でのスピード決戦を予想した多くのファンたちもまた、それぞれに大きな夢を抱いてレースを迎えようとしていた。実際、この出走馬たちなら好きなどの馬からでも馬券での応援は可能と思わせる様相だったのである。(別の視点から言えば、だからこそ難解という意味もあったのだが・・・)

    いつもの通りGCの最終追い切りを見て、最初の段階で、その気配に魅かれたのは、ルージュバック、ミッキークイーン、スマートレイアー、クロコスミア、モズカッチャンとヴィブロスの6頭だった。出馬表に黄色のマーカーでサッと印をつけたのだから、直感そのものは正しかったはずだ。

    でも6頭の選択は、私には多過ぎる。レースの時刻までにもう少し絞りたい。

    出馬表の内から、和田竜クロコスミア。最終追い切りで、馬自身が走る気を見せて、抜群の手応えある気配を発散していた。2枠4番から、今の和田竜二が前を行く騎乗で持たせてくれたなら大きな可能性があると読んだ。10月14日の稍重の馬場での上り33秒7の逃げ切りは印象的だったこともある。このときドバイ以来の復帰初戦だったヴィブロスを負かしたのだ。それに騎乗者に決まった和田竜二が、最近は前に行く戦法で確実に実績を挙げているのも心強かった。思えば、和田竜二は、テイエムオペラオーの3歳春の毎日杯で最後方からのごぼう抜きを決めて、馬共々スポットライトの中に浮上したのだが、今では先行タイプの騎乗で粘りある姿を示している。これなら初騎乗でも安心以上に勝負掛りと見なせるというものだ。

    M.デムーロ・モズカッチャン。その名は地味だが、オークス2着に粘ったしたたかさや、落鉄に見舞われた重馬場での秋華賞3着で示した安定感は、新種牡馬ハービンジャー産駒の出世頭にまで這い上がっている。騎乗するデムーロの強引なまでのしたたかさとのマッチングも効果大であるに違いない。

    浜中俊ミッキークイーン。左前脚の靭帯を痛めなかったら、本来ならこの馬こそが最強牝馬だと、私は今も思っている。春のヴィクトリアマイルの敗戦は、どう考えても腑に落ちないが、その後は宝塚記念で自ら3着を確保して力に衰えのないことを証明してもいる。人気が多少でも下がるようなら絶好の狙い目だし、最終追い切りの気配も私の眼には十分に力を発揮できる状態に感じた。

    R.ムーア・ルージュバック。追い切りの気配はとてもいい状態を誇示していた。最後に抜け出したときには、貫録さえ伝わってきた。ただ個人的には、今回は世界のムーアではなく、前走オールカマーで好位からルージュバックの新境地を開拓する騎乗を果たした北村宏司に乗って欲しかったのだが・・・。これまで戸崎圭太が苦労の騎乗を重ねてきただけに、いかに世界のムーアと言えども、不利とされる大外枠で初騎乗のルージュバックを勝たせることができるのかと、少しばかり不安を覚えたが、しかし神がかる世界のムーアなのだからと、そんな気持ちを抑えた。デットーリ、ムーア、モレイラは、今や世界の騎手の神様だからだ。

    土曜の夜までに、私はルメール・ヴィブロスとスマートレイアーを推理の枠から外した。
    ヴィブロスは、私の眼には前走府中牝馬Sのときの最終追い切りの方がより気迫があったように思えたし、主戦の武豊から川田将雅に突如乗り替わったスマートレイアーには、勝負運の流れの悪さを感じてしまったのだ。
    それにしても我らがスター武豊だ。また路上のキスでマスコミの餌食となった。あげくの果てに調教中の落馬負傷があったようだ。私の記憶の限りでは、写真誌に撮られたのはこれで3度目である。最初はもはや30年近く前で、現在の奥さんと若きスタージョッキーとの熱愛シーンだったが、最近は数年前に六本木の路上で、今回は京都の路上だという。お相手は、トレセンに来る女性キャスターらしいが、たとえ過度のお酒が入っていたとしても、こんな風にてごろに路上チューをこなしていると、単なる変態中年扱いになってしまいかねないのが、私には心配だ。スターはスターとして世をうっとりとさせる様な美しきキスを交わすべき存在なのだと思えてならないのだが、どうだろう?いや、武豊も実は普通の中年のオヤジ人間で、もはや自分の中にはない若さを補給するために、手っ取り早く若き女性との熱き路上キスを求めているのだとしたら、それもまた哀しい男の性(さが)にも感じてしまう・・・。

    ともあれ、私はこの時点で4頭に絞っていたのだ。そしてペースは流れるとも推理してもいた。
    だから日曜の朝までの浅い眠りの中で、うつらうつらとしながら、
    「ならばやはり軸馬は、ミッキークイーンにしよう。良馬場ならこれ以上に大荒れする可能性は低いだろうし、多少人気を下げている今回なら絶好の狙い目となるはずだ。人気を落とした実力馬というのは、経験上ロングショットの宝庫となっているではないか」
    結果からすれば、うつらうつらするのではなく、ぐっすりと眠ってしまえば良かったのかも知れない。

    的中馬券は、複勝やワイド以外は、ただ1点である。1点ならば限りなく合理的に1点に近くまで絞り切るべきと、枠連からの競馬に慣れた私には思えてならないのだ。メジロマックイーンの頃に馬連が定着してからは、自らに3点までを許すようになったが、どうもその癖が今でも離れない。だからごくたまに記念馬券しか3連単や3連複に手を出さないし、その場合でも2点か4点までを心掛けるようにしている。多点買いは、結局は続かないものだと割り切っているのだ。3連単マルチなど当たっての配当は高くても私には別世界の買い方だ。競馬は単勝を当てるのが基本だと意地を張っているし、強い馬が3着に負けることを期待するのは、邪な気分になって自分が嫌になる。嫌になってまで競馬を見るつもりもないのだ。


    ゲートが開いて1コーナーまでに逃げるポジションを確保したのは、1枠1番を利した藤岡康太クインズミラーグロだった。和田竜クロコスミアは2番手を確保した。浜中俊ミッキークイーンは中団の外。ムーア・ルージュバックはその直後にいた。

    この時点で、不安なことがあった。クインズミラーグロの逃げではペースが上がらないのではないかということと、ルージュバックのこの態勢ではおそらく上位進出はないだろうということだった。ルージュバックにはスタート直後に多少無理をしてもポジション取りをして欲しかった。

    案の定、前半5Fは62秒のスローペース。2番手で折り合っているクロコスミアや5番手ほどのインでやがての抜け出しの機会を虎視眈々と狙うモズカッチャンには大きなアドヴァンテージとなっていた。

    となれば残り4F(800m)の勝負処からのサバイバル戦となることが予想された。

    その通りの展開となった。

    和田竜クロコスミアが4コーナーを廻って先頭を確保。外からミッキークイーンが勢いをつけて追い上げる。直線中ほどを過ぎて、デムーロ・モズカッチャンが一瞬を捉えて仕掛け、いっきの瞬発力を発揮した。ミッキークイーンは豪快に外から伸び続け、クロコスミアは粘った。

    3頭が揃うようにゴールイン。ゴール前は、激しい闘いとなった。

    画面に向かって、「オイッ⁉」と叫んでみたものの、それは空しい抵抗に過ぎなかった

    GCのTV画面を見守った私には、すでにミッキークイーンが届かなかったことを確かめていた。
    ミッキークイーンから3点に流した私は、またも大きな縦目の敗戦を喫してしまったのである。

    京都や阪神を主戦場とする関西の一流騎手たちが、これまで伝統的に先達から習い教え込まれた騎乗の美意識がある。それは、馬の個性に乗って一瞬の究極なる仕掛け処を逃さず、ハナ差・頭差の微差で差し込むという美意識である。馬の力とゴールまでの距離と相手馬の力量を把握して、トップギアに入れる一瞬のときを見事に捉える。それは故武邦彦や福永洋一に伝わり、河内洋や田原成貴、武豊にも伝授された美意識である。現役騎手で言えば、勿論デムーロはイン攻撃から実践しているし、四位洋文やおそらく川田将雅にも伝わっている。彼らは、人気があろうとなかろう(それは世間が決めることである)と、勝負を賭けた場面で、馬にきちんと勝負させることを知っている騎手たちなのだ。ただ体当たりの騎乗をするレベルではないのは自明である。

    だが浜中俊にはまだもうひとつこの意識が弱いのではないか?限りなく近づいているにしても、本当の自信を掴みきっていないのではないだろうか?もしこの日、動き出しとギアを挙げる動作をもうほんの一瞬早めていたなら、おそらくトップギアに乗るのもわずかに早まって(ほんの20mほどのことだが)、外から差し切っていたように私には感じられてならない。いや、もしとかタラればは、グッと我慢しておくべきなのかも知れないが・・・。でもプロ存在としては大切なことなのだが・・・。

    爽やかな秋空の下、「オイッ・・⁉」という落胆で終わったエリザベス女王杯だったが、最終追い切りを見終えての着眼点には、どうやらまだ狂いはないようだ。その眼をかすませるのは、やはり私自身の利欲なのかも知れない・・・。的中の喜びを求めて、まだまだ何かを守ろうとしているのかも知れない。まずは捨て身になっての攻撃だけが、結果として喜びにつながることを再確認すべきなのだろう。

    そうか、捨て身か・・・。いい言葉である。





    category: 競馬

    CM: 0 TB: 0