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    Tsuruki Jun<鶴木遵>の原風景 《絶対零度》

    鶴木遵の本、新しい挑戦、趣味である競馬、将棋の駒、男の手料理、めだかやミジンコ飼育、犬猫のよもやま話、など四季折々に感じたことを発信していきます。

    2016皐月賞~中山・芝2000m 

    埴輪馬
    朝、8時半のレッドアローで中山へと向かった。暗い雨雲が広がって、空の色は春の盛りとは無縁の気配だったが、まだ雨粒は落ちてはいなかったし、風もさほどではなかった。傘は持たずに出発した。

    いつものように池袋から丸の内線、大手町から東西線、西船橋から専用バス。雨はまだ降らず、江戸川を渡った辺りから風が強まっていた。11時過ぎ、濡れずに無事中山に到着。そのままエレベーターでゴンドラ席へ。

    昨日から、どうも心が落ち着かなかった。天気の所為ではなく、熊本で発生した大地震が生んだ気分である。何が起こっているのかまるで見当がつかない状況程、人々の心を惑わして暗澹としたブルーな気分にさせるものはない。いったいどうなってしまっているんだと。皐月賞が、そんな風にならないことをどこかで願っていたような気がする。しかし・・・。

    風は弱まることはなく、12時過ぎにはその風にあおられて霧吹きで吹いたような横殴りの雨が降り出し始めた。内馬場に飾られた旗が引きちぎれんばかりに揺らめいていた。

    第9R。芝2000mの1000万条件戦。2分0秒1の決着タイムだった。ならば皐月賞は、おそらく2分を切って1分59秒あたりで勝負が決まるだろうと、何となくそう思った。

    クラシックレースを迎えるとき、いつも私は最も厳しかったベストレースとなる前哨戦はどのレースだろうか?と考える。好タイムで勝ったとしても、楽な相手に自分のペースで勝った場合はあまり評価はしない。それよりも他馬とのせめぎ合いの中で耐え切って勝ち上がった馬の精神力に期待する。

    その意味では、朝日杯と弥生賞がベストトライアルだと、私には思えてならなかった。サトノダイヤモンドのきさらぎ賞、ディーマジェスティの共同新聞杯は、好タイムの決着だったが、走った相手馬が1枚格下で、あまり価値のない楽勝だったと判断していた。だから、結果からすれば、もはやこの時点で今日の勝負は決まっていたのだ。

    その分析見極めを、大きく崩してしまったのが、M.デムーロの騎乗ぶりにあったのは間違いではないだろう。

    2時を過ぎる頃から、空の色は明るくなってきた。皐月賞の出走馬がパドック現われたときには、雨も上がって陽が差すようになっていた。ただ風は弱まることはなかった。4コーナーからゴールに向かって吹き荒れていた。バックストレッチは向かい風を真っ向から受けることになる。

    皐月賞の最終追い切りでは、デムーロがまたがったリオンディーズはインできちんと折り合っていた。これなら弥生賞のように少しばかり掛かり気味のレースをすることはないだろうと読んだ。エアスピネルも伊藤雄二流を受け継ぐ笹田厩舎の仕上げと、4つのコーナーを廻る皐月賞での武豊の手腕に期待できたし、川田将雅に乗り替わったとは言え、マカヒキの坂で伸び切る差し脚にも注目できた。ピリッとした2頭の緊張感と、ケロッとした感じで33秒の差し脚を発揮するマカヒキは、私の贔屓したい馬だったのだ。サトノダイヤモンドの正体は、今日で判ると思っていた。この馬は、無理をさせない使い方を見てもダービーが勝負の瞬間となるのではないだろうか?

    ゲートが開いて1コーナーまで。桜花賞の2㎝差の勝利で強気になっていたのか、デムーロはリオンディーズを仕掛けるように2番手に誘導した。いや、誘導の騎乗をしたというよりは、馬の気分に任せてしまったという方が正解かも知れない。手綱の意志を馬に委ねてしまっていたのだ。

    結果、レースの重心は前がかりとなって、前半5F(1000m)は58秒4の速い流れとなった。
    向こう正面で、馬任せのまま早くも先頭に立ったリオンディーズ。武豊エアスピネルは5・6番手の好位を進み、後方の5番手辺りを蛯名正義ディーマジェスティが追走、それを見るように川田将雅マカヒキが続いた。

    私の期待したドラマは、4コーナーを廻った瞬間に一瞬垣間見ることができた。先頭に立つのはリオンディーズ、それを射程圏に入れて伸びようとするエアスピネル・・・。

    しかし坂の辺りで、リオンディーズがハイペースで余力を失くして苦しく外によれたとき、まっとうに被害を受けたエアスピネルと共に私の皐月賞は終わった。

    そのとき不利を受けることもなく外から蛯名正義ディーマジェスティとマカヒキが追い込んできた。C.ルメール・サトノダイヤモンドは
    3着を確保。リオンディーズは5着に降着しエアスピネルは4着となった。

    俯瞰した見方をすれば、ハイペースのサバイバル戦となって、先行馬はほぼ全滅状態の中、リオンディーズとエアスピネルはそれでも崩れずに粘り切り、流れを利して追い込んだディーマジェスティとマカヒキが1・2着となったレースと言える。

    5着までの馬たちの本当の勝負付けは、まだ終わっていないような印象が残る。それが決定的になるのは、日本ダービーだろう。
    この日は見られなかったが、中団の前辺りのポジションから差して伸びるリオンディーズの姿や、好位でさらに粘り切るエアスピネルや、絶好調なら32秒の差し脚を示すマカヒキの追い込みを、ぜひダービーで観たいものである。

    かつて小島太(現調教師)は言った。
    「ダービーを獲る奴は、もう3月辺りから顔つきが違うんだよ」
    騎手生活30年にして再び迎えた、皐月賞馬に騎乗しての見果てぬ夢のダービー挑戦。イスラボニータ2着の無念となるか、それとも・・・。

    2016日本ダービーは、見守るべきドラマがてんこ盛りのレースとなるだろう。
    今から5月29日が楽しみでならない。





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    category: 競馬

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