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    Tsuruki Jun<鶴木遵>の原風景 《絶対零度》

    鶴木遵の本、新しい挑戦、趣味である競馬、将棋の駒、男の手料理、めだかやミジンコ飼育、犬猫のよもやま話、など四季折々に感じたことを発信していきます。

    元騎手安田富男復活~脳梗塞の深淵から 

    JT

    想い起せばダービーの朝、呂律の少しも廻らない安田富男から電話を受けたのだった。

    どうしたのかと驚いて、まるで幼子に話しかけるように応対しても、電話の向こうで言葉が詰まって、普通にしゃべることができない安田富男の悪戦苦闘ぶりが伺い知れた。

    電話を終えたとき、安田富男のあまりの変わりように落胆し、正直に言えば、もう長くはないのではないかとさえ思えてならなかった。

    7月までに何度か電話を入れたが、繋がらず、どうしたものかとずっと気懸りのまま夏を終えることになったのである。美浦の自宅には、おそらく息子夫婦がいるのだろうが、もし良くなっていなかったら聞くのも申し訳ないような気がして、そのままに時間が過ぎてしまっていた。

    今日、念のためにと改めて電話を入れると、以前のままに近い声が聞こえてきたのである。それは、大きな驚きとなった。

    「あれっ!?ト・ミ・オ・さん・・・・どうしちゃったの?・・・・」

    いや、どうこうしたのではなく、脳梗塞の深淵からしぶとく回復していたのだ。良かった、本当に良かった・・・・。

    ここしばらくの間、安田富男は、南関東地方競馬の外厩を経営して、自ら管理馬にも乗り続けていたのだ。毎朝、馬に乗ることを忘れることはなかった。自分で乗って育てる喜びを得ていたし、地方競馬の小さな外厩の厩舎では、そうしなかったら維持はできなかったのである。だから、現役の頃より元気でさえあったのだ。

    5月初旬のある朝、いつものように厩舎に向かおうとして倒れた。自分の体が少しも動かなかったのだ。動けぬまま、意識を失った。今は大丈夫だが、それからのことはリハビリによって症状が大きく改善するまで余り憶えていないという。8月のお盆の頃からようやく脳の霞が取れたような感じとなって、だいぶ良くなって思考も繋がるようになってきたという。2か月半もの間、闘病に耐えてきたのである。だから、あのダービーの朝、私に電話をかけたことも実は無意識で、はっきりとした記憶はないらしい。それでも、しぶとく生き残ったのだ。

    「いやぁ、優駿の部屋のみんなと早く会いたいなぁ・・・もう何とかだいじょうぶだからさぁ」
    「ちゃんと伝えておくから。安田富男が三途の川を一人で泳いで戻ってきたと」
    「リハビリはきついかったけどね」
    「2度やったら本当に危ないから、まあ、これからはやんちゃはできませんねぇ」
    「オレがさぁ、まだ現役でヤンチャでなかったら、岡部の上をいったんだよね」
    「そのくらいの憎まれ口が叩けたら、もう安心、安心」

    ここで大きな声で笑い合って、電話を切った。
    この回復ぶりなら、もうお見舞いに行っても大丈夫だろう。さっそくお友達の皆さんに報告しておこうか。
    「残念ながら、またゾンビの如く生き返ってしまった」と。
    それにしても良かった・・・・・。


    ☆たぶん今の安田富男を励ますのは、グリーグラスのファンだった皆さんや、一番人気で数々裏切られた皆さんの声だと信じます。栃木県那須塩原「地方競馬教養センター外厩安田富男」気付で、ぜひ励ましの声をお届けくださいませ。




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    category: 異化する風景

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    コメント

    富男さん

    安心しました。倅二人に聞くがあまり話さなくて近くの知人も心配していて

    まーちゃん #XTTy2FbU | URL | 2016/08/24 16:43 - edit

    Re: 富男さん

    まーちゃん様
    記事にあるように、倒れたのは2年前でした。今年には、私と電話で喧嘩できるほど回復していてひと安心です。
    現役騎手時代には、一緒にアメリカカリフォルニア競馬に行ったりして、トミオさんとはいろんな想い出がありますし、しつこい取材で世話にもなりました。これからも元気で長生きして欲しい存在ですし、世間では穴男と呼ばれていましたが、実は天才肌の資質を誇っていました。でも、それを大きく伸ばせなかったのは、本人の自覚のなさだったのかも知れません。今でも勿体なかったと思いますが、それもトミオさんの魅力なんでしょう。これからもよろしくお願いします。   鶴木

    Tsuruki Jun #- | URL | 2016/08/24 23:01 - edit

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