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    Tsuruki Jun<鶴木遵>の原風景 《絶対零度》

    鶴木遵の本、新しい挑戦、趣味である競馬、将棋の駒、男の手料理、めだかやミジンコ飼育、犬猫のよもやま話、など四季折々に感じたことを発信していきます。

    清征の夏~新作への挑戦 

                                 201408 清征作 恒圓書 彫駒②

    2014年夏。私が生まれて初めて駒作りに戯れていた頃と、時を同じくして、由進の1番弟子清征も自分自身の夏物語を、その肉体と記憶に刻み込もうとしていたらしい。彼の場合は、私とは違いプロの駒師としての自立の道を歩もうとしているから、戯れなどではなく、一つ一つの体験を自らの血肉としていかねばならない。そうでなければ、道は開けないのだ。

    思えば、弟子という言葉に込められる意味も、現代では相当に変わっている。過去には下職を担う内弟子として、寝食を共にして技術を盗んで一人前になるまで修行と奉公を重ねることが、弟子の責務であった時代があったが、もはやそんな制度は時代遅れになっている。核家族化した「家」では、内弟子を受け入れる場所もないし、弟子になる側の我慢や耐性も時代とともに変化してもいる。現在の弟子は、師匠の技や精神の在処を、外側から教えを受けて吸収する関係が基本ともなっている。言うならば、人間の心の共有関係が、師匠と弟子を共に鍛え上げるのだ。師と仰ぐ人間に、そもそも人としての魅力がなかったら成立しない関係式と言ってもいいだろう。

    清征の場合、師と選んだ駒師出石の作品を自ら入手することから始まり、実際に会って、この人から学びたいと決めたときから、1番弟子の道が開いた。駒作りの教えを乞い、ゆっくりではあるが、教えられた技を自らのものとして何とか体得して、師弟の関係を続けている。だから緊張感もあるし、ときには酒席で遠慮なく師匠にジョークを返すこともできる。だから楽しくてならない。

    楽しいからこそ、成長もできるのである。この夏、清征は、新たに木地整形をも始め、新作の駒作りにも挑もうとしている。
    全ての直接のチャンスは、師匠を通して参加した粋鏡庵での「東北支援チャリティ将棋教室」で試されるように与えられた。清征自身の丁寧な仕事が評価されたからとも言える。

    現在の最高レヴェルのいくつかの木地の整形を依頼され、駒作りとしては、「恒圓書」と「巻菱湖」彫り駒の製作をすることが決まった。清征自身は、来年からは本格的に盛上げの挑戦を始めるつもりだが、その前に、学んで為すべき課題を提供されたのだ。

    冒頭の写真は、「恒圓書」の歩の試し彫りである。素晴らしく硬い根柾系の島黄楊木地である。7月に完成した「天童楷書」からまたひとつ進化しているようだ。

                         20140816 清征作 恒圓書 彫駒    201408 清征作 恒圓書 彫駒②

    最近、駒作りに戯れた私は、清征に頼んで、印刀の砥ぎ具合を見せて貰った。
                                    清征 印刀①

    素人の私の砥ぎとは違い、見るからにシャープに砥がれている。勉強になる。

    それにしても、駒師清征は作品作りにおいて、かなりの緊張感ある日々を過ごしているに違いないだろう。駒に関わるあらゆる作業に、今は全力投球だろうし。しかしその充実感は、作家を育てるものでもある。とにかく前に進めと、励ましたい。

    清征が、まずは「恒圓書」を始めようとしている今、もうまもなく師匠出石の最新作である新「古流水無瀬」も、1年間以上楽しみに待ち望んでいた習志野のTさんの元に届けられる予定となっている。

    アルキメデスと亀の話ではないが、少しでも近づこうとすると、目標の師匠はまた少しだけ前に行っている。気を取り直して、また追いかけるしかないが、追いかけるごとに、気がつけば清征の技量は上がっている筈である。

    少しも恩着せがましくもない人の心で結ばれた師匠と弟子の駒作りの競争関係は、ある意味現代の理想的なものなのではないだろうか。

    そして、部外者の私自身は、出石の新「古流水無瀬」にも清征の「恒圓書」にも、期待を持って楽しみに待っているのだ。

    おそらく「古流水無瀬」の新所有者となる習志野のTさんは、多くの駒写真を送ってくれるだろう。清征も駒製作の写真を適宜送ってくれる筈である。さしあたり私の手元にある旧「古流水無瀬」とTさんの新「古流水無瀬」の写真を並べてみるのが、先になるだろうが。

    でも、いろんなことが本当に楽しみだ。乞う、ご期待である。





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    category: 将棋駒

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