Admin New entry Up load All archives

    Tsuruki Jun<鶴木遵>の原風景 《絶対零度》

    鶴木遵の本、新しい挑戦、趣味である競馬、将棋の駒、男の手料理、めだかやミジンコ飼育、犬猫のよもやま話、など四季折々に感じたことを発信していきます。

    7月13日 東北支援チャリティ「将棋教室」当日その⑥ 

    朝7時の起床。布団をたたみ、洗面を済ますと、粋鏡庵流の朝食。ホカホカのご飯がおいしくて、思わずおかわりをしてしまった。お酒と夜更かしで、睡眠時間は短かく体は疲れていたのだが、胃腸は元気だった。

    朝8時頃からからは、会場準備。粋鏡庵主の指示のもと、私と清征は盤駒を並べるのをお手伝い。由進は、玄関先で「第4回東北支援チャリティ将棋教室」の看板設営。文字は由進自身が昨年に書いたものだった。第3回を第4回に修正して完了。ついでに庵主が近くの倉庫から運んできた下駄箱を、由進と清征が奥さんから道具を借りて組み立てる。余りにも多い参加者に、昨年は玄関に靴が溢れかえっていたから、その為の対策だった。人が集まる会というのは、裏側での準備が所謂「おもてなし」の心で整えられていく。目立ちはしないが、大事な気配りである。

    9時を過ぎると、棋士たちが続々と集ってくる。最初に到着したのは、石田直裕4段だった。棋士となって順位戦に登場した昨年に、由進からお祝いに寄贈された「巻菱湖」盛上げ駒を、今日の対局用に持参していた。
    その後は佐藤康光9段、飯塚裕紀7段、飯島栄治7段、本田小百合女流3段と続々到着。
    棋士たちは早くに来て、東北支援のチャリティの趣旨から、色紙や著書や棋具に揮毫して落款を押してファンサービスに努めるのだ。5000円の会費、色紙等の売り上げは全て大船渡や大槌町の連盟支部に寄付される。今年は、大船渡支部長渡辺氏が代表して会に参加した。

    午前10時からそれぞれの場所で、対局が始まった。5000円の会費を納めれば、午前午後の対局時間の間に5人の棋士たちの指導を受けられるのだから、ファンにとってもありがたいチャリティ企画だった。本田小百合女流は、午後には連盟の別件の仕事が入り、残念ながらいったん午前中で粋鏡庵を退出するが、しかしそれでも夕方からの打ち上げには戻ってくるという。律儀な女流棋士である。

    その対局風景。
     DSCN1416.jpg    DSCN1419.jpg    DSCN1418.jpg    DSCN1420.jpg

    皆さん真剣に棋士たちに挑んでいたから、部屋のエアコンは≪強≫でフル稼働していたが、その冷気が飛んでしまう程の熱気が部屋に満ち溢れていた。

    特筆すべきは、飯塚裕紀7段に挑戦した赤のTシャツの少年。去年のこの会で見たM君だと記憶するが、何と平手で飯塚7段を撃破したという。いやはやたいした実力である。佐藤康光9段は2日前にA級順位戦で深夜まで対郷田9段戦を闘ったばかりなのに、少しも疲れを見せてはいなかった。将棋の内容も完勝での2連勝。今年の順位戦は注目である。

    11時前に、群馬のIさんが到着した。2度目の粋鏡庵訪問である。今回は、完成したばかりの出石作「江戸安清」赤柾盛上げ駒を受け取るのだ。由進は、郵送ではなく直接に手渡しする機会を、上京するこの日はどうですかと提案し、地元の将棋大会にも参加するIさんは、棋士たちの指導が受けられるいい機会だと喜んで粋鏡庵にやって来たのだ。
    念願の赤柾「江戸安清」の平箱を開けた瞬間のIさんの、うっとりとして恍惚感溢れた表情は、今想い出しても感動ものだ。多分これから彼は、出石の駒世界にズッポリと嵌まってしまうのだろうと、心配するほどの表情だった。これまで集めた駒たちが物足りなくなって、処分してしまわなければいいのだが・・・・。あの満足げな顔つきでは、きっとそうするに違いないなと、そう思えてならなかった。高ぶった満足感が功を奏してか、Iさんのこの日の成績は、2枚落ちで4戦2勝。まるで若返ったようだった。

    同じ頃、2番弟子の杉並のM君も到着。先月末に、通う道場のWさんから、天童のS商店が後継者がいなくて店を閉めることになったけど、君が後継者になったらどうかと紹介されて、残念ながら突然の話で店は継ぐことはできなかったが、縁あって静山「錦旗」の柾目盛上げ駒を譲り受けたのだった。かねての約束通り、その駒を持参して見せてくれた。
    如何にも静山らしい優しさを湛えた「錦旗」だった。ついでに店番をしながら駒作りに励んだら、まさに静山その人の境地に浸れたかも知れないのにと、口の悪い私はM君を冷やかして、皆で笑い合った。
    DSCN1421.jpg    DSCN1422.jpg


    午後4時。まだ熱戦は続いていたが、少しばかり疲れてしまった私は、愛知に帰る清征と一緒に粋鏡庵を出た。どうしても打ち上げには出たかったのだが、前夜の睡眠不足で右脚が少し痙攣してもいたので、迷惑をかけてはいけないと自重したのである。止むを得ない。皆さん揃って、きっと賑やかに楽しい宴になったことだろう。

    この日、生涯初めて2枚落ちで棋士から初勝利を得た清征とは、池袋で握手をして別れた。由進出石は明日の飛行機で愛媛に帰る。粋鏡庵主とは別件でまたお会いするだろう。棋士たちの活躍は、「名人戦棋譜速報」でいつでも確かめて応援できる。それぞれの現場で奮闘する人たちの輪の中に参加できる幸せを噛み締めながら、自宅に帰るレッドアローの中で心地良くウトウトと微睡んでいた。

    1泊2日の短い時間だったが、内容のある濃密な時を過ごした。そう思えてならない。

    〈後日談〉
    私のブログを読んで面白い後日談が生まれた。
    まずは、「古流水無瀬」を完成を待つ注文主の習志野のTさん。由進出石が東京にトントン錆を砥ぎ出したばかりの「古流水無瀬」を持参したことを知って、それだけの自信作なのかと喜んでメールをくれた。来月入手したら、晴れて会の参加資格を得られますので、これからは声を掛けて下さいと記されていた。嬉しいことだ。

    もうひとつ。群馬のIさん。赤征の「江戸安清」の魔力に嵌まり込んで頬が緩みぱなしで、ついでに「古流水無瀬」も欲しくなって、どうやら手元にあるこれまで集めた駒たちを処分して予算を作ろうとしているようだ。それも奥さんには気づかれないようにである。奥さんからは「いつもいつも将棋ばかりして」と言われていると聞いたから、私はこう返事をしておいた。
    「オレが将棋や駒に熱中するのも、お前の為なんです。将棋で頭を使ったり、駒を集めて楽しんでさえいれば、お前に迷惑をかけずに元気で長生きできる。病気して寝たきりになったら、お前も迷惑だろ?」と言い続けなさいと。

    私はと言えば、生涯初めての「巻菱湖」の砥ぎ出しが終わっていますので、盛上げを待つ間に、今回薩摩黄楊の余り木地を、駒を彫り始めたことを知った由進から貰いましたので、それを使って夏の間に1字彫りの駒を作ってみようかと決めました。整理してみると、何とか1組分の駒数が揃っていたのです。書体?ハイ、もうこれしかありません。それは、「古流水無瀬」の1字彫りです。まだ薬研の底で勝負する力は少しもないので、少し小さめの彫埋め駒にする予定です。頑張ってみます。さてさて・・・・どうなりますやら・・・・。

    〈ささやかな情報〉
    「囲碁将棋チャンネル」で、由進登場の佐藤康光9段との熱闘「お好み道場」のオンエアは、26日です。


    ※この項、終わり。






    関連記事
    スポンサーサイト

    category: 将棋駒

    CM: 0 TB: 0   

    コメント

    コメントの投稿

    Secret

    トラックバック

    トラックバックURL
    →http://0417jun.blog.fc2.com/tb.php/473-f371473a
    この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)