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    Tsuruki Jun<鶴木遵>の原風景 《絶対零度》

    鶴木遵の本、新しい挑戦、趣味である競馬、将棋の駒、男の手料理、めだかやミジンコ飼育、犬猫のよもやま話、など四季折々に感じたことを発信していきます。

    5月18日ヴィクトリアマイル 東京1600m ① 

                            140517京王杯SC①

    心地良い五月晴れが続き、水を撒いても深緑の芝がすぐに吸い込んで、固く締まった馬場はビクともしない。

    その結果、芝コースは好タイムが続出し、その反面、ダートコースは乾燥して砂煙がモウモウと上がる週末の競馬となった。

    古馬牝馬が集うヴィクトリアマイルを迎える前に、私にとって印象的ないくつかの事柄があった。それをきちんと記しておく。

    まず土曜日、京都のメインレース都大路S(4歳上オープン:1800m)。5歳牡馬グランデッツァが、1800m1分43秒9という驚異的なレコードタイムを記録した。引き締まって時計の出やすい馬場状態の故だとは思うが、それでも残り4F46秒3、3Fが34秒9。ホームストレッチの独走を見れば、力がなくては達成できない記録であったことは間違いない。

    遂に芝1800m戦が、1分43秒台に突入した。想い出せば、1974年、野平祐二騎乗のシンザン産駒スガノホマレが、東京で行われた京王杯オータムハンデ1800mで、1分46秒5の時計で逃げ切ってから、40年。スガノホマレの記録は、当時奇跡的なものとして大きな衝撃を受けたことを記憶している。(勿論まだ私はうら若き少年だったのだが)確かこのレコードは12年ほど破られることがなかったのだ。それをもってしても価値ある記録だった。

    それが、40年経って遂に1分43秒台に突入した。

    グランデッツァ自身にその裏付けがなかった訳ではない。3年前の桜花賞馬マルセリーナの半弟(父がディープインパクトからアグネスタキオンに変わった)であり、2歳時の11年には札幌2歳Sを勝ち、翌12年にはスプリングSをも制し、皐月賞は大外18番枠からの出走で5着だったが、1番人気に支持もされていた。ダービーは10着。その後脚部不安で1年8か月もの長期休養を経て、今年1月に脚部の状態を思いやってかダート戦で復帰した。しかし2戦のダート戦は16着、11着と惨敗し、再び3ヶ月のリフレッシュ放牧を挟んで、ようやくこの日、芝のレースを迎えたのである。

    汗をかく季節を迎えて、新陳代謝で体調を整え、脚部不安を克服しているとしたら、走って当然の背景はあったのであるが、しかしまさか1800m1分43秒台を刻むとはというのが、レースを見終えた大方のファンの正直な感想だろう。

    だがホームストレッチを独走するその姿には、爽快感すら漂っていた。

    土曜の東京のメインは、京王杯スプリングC(芝1400m)。私の注目は、G1高松宮記念馬コパノリチャードが、東京競馬場でどんなレースをするかという1点だったが、直線でインをすくった川田将雅クラレントと馬体を絡ませ合って、リズムを崩して、前走の強さを再現できずに終わった。

    代って突き抜けてきたのは、8歳馬北村宏レッドスパーダだった。春の雨で重馬場となった高松宮記念は17着惨敗だったが、乾いて引き締まった良馬場のこの日は違った。G1安田記念の優先出走権を確保した。

                               140517京王杯SC②レッドスパーダ


    こうしてこの目で確かめた事実を記していくと、どうやら今起こっている事柄の傾向を表すキーワードが浮かび上がってくる。今回の場合は、おそらく「復活」というキーワードが、私の眼の前をまるで蝶々のように舞っていた。そう思えてならない。が、大きなヒントが眼の前にあったとしても、そうなんだと掴み切るのは、心が曇っていると、凡人にはなかなか難しいことなのだ。

    翌日曜日の朝、カメラマン石山勝敏から、整理したばかりの京王杯の写真が届いていた。添えられた文章には、今日のヴィクトリアマイル狙いはどの馬ですか?などという質問があった。ゴール前で、どんなレースになろうとも勝ち馬にフォーカスを合わせることが、カメラマンには必要なのだ。そのためには事前にいろいろと想像力を働かせておかねばならない。

    このとき私は、「2枠の2頭から、相手はディープインパクト産駒の馬たちのどれかでしょう。過去2年はホエールチャプチャに注目していたけど、今回は本命人気となるので、何となく来ないような気がしてなりません」

    大雑把な答えだったが、朝の時点で言えるのはそこまでだった。

    ヴィクトリアマイルの直前の京都競馬場。古馬オープン戦栗東S。ダート1400m。笹田和秀厩舎のキョウワダッフィーに騎乗したのは、34歳の竹之下智昭だった。晴れやかな活躍を注目されている存在ではないが、毎日手を抜かずに調教に乗り、裏方的有り様を受け入れて励んでいる。しかし一部の関係者からは、任せて安心という評価を受けている。チャンスさえあれば、浮上できるだけの騎手である。まだ諦める年齢でもない。

    キョウワダッフィーの騎乗は、調教師笹田和秀からの勝利のプレゼントだったに違いない。これで自信をつけなさいと。不満も見せずに一途に毎日の調教に乗っていれば、いつか必ずチャンスは与えられるものだ。それがこの日だったのである。
    竹之下智昭は、中団外から追い込んで、堂々の勝利を飾った。今年の初勝利だった。これでまだしばらく騎手を続ける力を得ただろう。腕はあるのだから、後は自信だけだ。少し注目していたら、ロングショットを、今度は竹之下智昭自身がプレゼントしてくれるかも知れない。

    竹之下智昭の勝利を喜んでいる間に、東京競馬場にファンファーレが響き渡った・・・。

    ※この項、続く。



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    category: 競馬

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    コメント

    スガノホマレ懐かしい

    1分46秒5
    1974年当時は、驚異的というか、次元の違うタイムでした。
    とても懐かしく、読ませていただきました。

    カエサルjr #- | URL | 2014/05/19 23:40 - edit

    Re: スガノホマレ懐かしい

    カエサルjrさん
    初めまして。コメントありがとうございます。
    グランデッツァの1分43秒台突入にも驚きましたが、風と同化したような華麗なる野平祐二騎乗のスガノホマレの衝撃は、当時の日本の競馬レヴェルからしても本当に驚かされたものです。
    ハイセイコーのダービーの翌年、キタノカチドキの頃でした。その後、シービー・ルドルフ登場から、精鋭揃ったオグリキャップの時代、サンデーサイレンスの時代を経て、今やディープインパクトの時代です。隔世の感があります。
    それにしてもカエサルjrさんの競馬キャリアも相当ですね。
    今後ともよろしくお願いします。
                          鶴木 遵


    Jun.Tsuruki #- | URL | 2014/05/20 00:22 - edit

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