謎の駒師④~遂に完成~「篁輝書」彫埋め駒届く
2013/11/27 Wed. 14:22 [edit]
想い出せば、3年程前、オークションに出品されていた宮松作の彫駒に面白さを覚えたのが、私と「篁輝書」との出会いだった。そのときの落札価格が約17万。彫駒にそれだけ出す度胸も、財布の中身もなかった ことは記憶している。
それは、こんな駒だった。
それから時が経って、昨年の暮れ、駒師出石(由進)が、何とこの「篁輝」書体に自らの手を入れて盛上げ駒を創ったのである。
私は大きな関心を抱いて、その製作過程を見守っていた。
完成した駒は、 これである。迫力に満ちた作品だった。
これを由進に依頼していたのは、実は謎の駒師その人だった。
謎の駒師の手元に行って磨かれて、半年も過ぎると
駒は木地の良さを発揮してこんな風に変化した。

その頃、縁あって私は、謎の駒師からこの駒写真を送ってもらうことができた。同時に、謎の駒師が自ら駒製作をしている事実を知ったのである。
出石(由進)が「篁輝書」を完成した直後に上京したとき、話の流れの中でこんなことを言った。
「今回作ってみて判りましたけどね、この篁輝書体を、早くに作ってみれば、彫の進歩はいっきに高まりますよ。それだけ書体が要求してきますからね。盛上げてどうなるかと思ってましたが、いやいや凄い迫力がでました。そう思いませんか?」
この言葉を忘れなかった私は、この春に謎の駒師に「篁輝書」を作って下さいと頼んだのである。すでにそのときには、謎の駒師は自分用の習作として1組の「篁輝書」を作ってもいたからだった。その駒写真も私には送られてきてもいたのだった。
謎の駒師は、考えたうえで、やりましょうと決断してくれた。(それからの動静は7月8月の記事に明らかである)
私は、駒の完成を首を長くして待っていた。順調に彫が終わり、秋には漆を入れる段階となった。謎の駒師は、漆を重ね塗りして彫埋め駒にしようとしていたのだ。漆の乾きを待って次の漆を塗り重ねて行く。時間はかかるが、その作業も順調に進んだ。そう、最終最後の段階までは・・・。
謎の駒師は、慎重に目止めをして、アクシデントが起こらないように配慮していた。一つ一つの作業を納得した上で進めていた。しかし、漆が乾いた最終最後の研ぎの段階で、漆が木地の導管に入り込み、数枚に滲みが起こってしまったのである。
僅か数枚でも、将棋駒は余り歩を足して42枚で一組である。全部が揃わなければ、作品とは言えない。
原因は、入手した島黄楊の木地の乾燥が十分ではなかったことが一番だろう。流通している木地の全てが完全乾燥のものである保証など無い。中には見せかけは良くても、乾燥の時間をかけずに駒形におろしてしまう木地師もいるらしい。最低5年の乾燥が欲しいのにである。
私の元にメールが届いたのはその頃だった。島黄楊から師匠から頂いた薩摩黄楊に変更して良いですか?
何が起こったのかは正確には判らなかったが、由進から届いた薩摩黄楊なら、おそらく木地師でもある彫駒師松本光泰の木地だろうし、それなら手元にある「古流水無瀬」と同サイズでイメージも湧く。同時に彫埋め駒を使い込むなら、薩摩黄楊の頑丈さも良いと考え、全てお任せしますと返信した。
そして今日、遂に私の元に、完成した「篁輝書」彫埋め駒が届いたのである。
包装を解き、平箱を開けると、威風堂々とした駒が現れた。
私には予想通りの出来栄えに映った。
さて、皆さんのご感想は?と、敢えて質問したい気分である。
☆次回は、謎の駒師の正体が明らかになります。乞う、ご期待です。
それは、こんな駒だった。


それから時が経って、昨年の暮れ、駒師出石(由進)が、何とこの「篁輝」書体に自らの手を入れて盛上げ駒を創ったのである。
私は大きな関心を抱いて、その製作過程を見守っていた。
完成した駒は、 これである。迫力に満ちた作品だった。

これを由進に依頼していたのは、実は謎の駒師その人だった。
謎の駒師の手元に行って磨かれて、半年も過ぎると
駒は木地の良さを発揮してこんな風に変化した。

その頃、縁あって私は、謎の駒師からこの駒写真を送ってもらうことができた。同時に、謎の駒師が自ら駒製作をしている事実を知ったのである。
出石(由進)が「篁輝書」を完成した直後に上京したとき、話の流れの中でこんなことを言った。
「今回作ってみて判りましたけどね、この篁輝書体を、早くに作ってみれば、彫の進歩はいっきに高まりますよ。それだけ書体が要求してきますからね。盛上げてどうなるかと思ってましたが、いやいや凄い迫力がでました。そう思いませんか?」
この言葉を忘れなかった私は、この春に謎の駒師に「篁輝書」を作って下さいと頼んだのである。すでにそのときには、謎の駒師は自分用の習作として1組の「篁輝書」を作ってもいたからだった。その駒写真も私には送られてきてもいたのだった。
謎の駒師は、考えたうえで、やりましょうと決断してくれた。(それからの動静は7月8月の記事に明らかである)
私は、駒の完成を首を長くして待っていた。順調に彫が終わり、秋には漆を入れる段階となった。謎の駒師は、漆を重ね塗りして彫埋め駒にしようとしていたのだ。漆の乾きを待って次の漆を塗り重ねて行く。時間はかかるが、その作業も順調に進んだ。そう、最終最後の段階までは・・・。
謎の駒師は、慎重に目止めをして、アクシデントが起こらないように配慮していた。一つ一つの作業を納得した上で進めていた。しかし、漆が乾いた最終最後の研ぎの段階で、漆が木地の導管に入り込み、数枚に滲みが起こってしまったのである。
僅か数枚でも、将棋駒は余り歩を足して42枚で一組である。全部が揃わなければ、作品とは言えない。
原因は、入手した島黄楊の木地の乾燥が十分ではなかったことが一番だろう。流通している木地の全てが完全乾燥のものである保証など無い。中には見せかけは良くても、乾燥の時間をかけずに駒形におろしてしまう木地師もいるらしい。最低5年の乾燥が欲しいのにである。
私の元にメールが届いたのはその頃だった。島黄楊から師匠から頂いた薩摩黄楊に変更して良いですか?
何が起こったのかは正確には判らなかったが、由進から届いた薩摩黄楊なら、おそらく木地師でもある彫駒師松本光泰の木地だろうし、それなら手元にある「古流水無瀬」と同サイズでイメージも湧く。同時に彫埋め駒を使い込むなら、薩摩黄楊の頑丈さも良いと考え、全てお任せしますと返信した。
そして今日、遂に私の元に、完成した「篁輝書」彫埋め駒が届いたのである。
包装を解き、平箱を開けると、威風堂々とした駒が現れた。



私には予想通りの出来栄えに映った。
さて、皆さんのご感想は?と、敢えて質問したい気分である。
☆次回は、謎の駒師の正体が明らかになります。乞う、ご期待です。
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