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    Tsuruki Jun<鶴木遵>の原風景 《絶対零度》

    鶴木遵の本、新しい挑戦、趣味である競馬、将棋の駒、男の手料理、めだかやミジンコ飼育、犬猫のよもやま話、など四季折々に感じたことを発信していきます。

    蕎麦を食べに行きます 

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    「蕎麦を食べに秩父に行きます」と、群馬M市のIさんからメールが届いた。M市は歴史のある足利地域にあり、赤城山を辿って行くと、日光まで45分ほどで行けるそうだ。

    北関東自動車道から関越花園、寄居バイパスを使えば秩父まで1時間半で充分おつりがくる距離である。意外に近い。

    Iさんとは、NHKの「おはよう日本」で取り上げられた駒師由進の番組をきっかけにして、すぐに「駒師由進」本の注文があり、3ヵ月ほど前に私の手元にある由進作の駒をぜひ実見したいという希望を受けて、そのとき初めてお会いした。互いに持っている駒を見せ合って楽しい時間を過ごしたのだった。

    その直後に、Iさんは由進駒の魅力に囚われてしまったのか、直接に由進と連絡を取り、何と赤柾の「安清」の製作依頼をしてしまったのだ。でも製作期間は1年ほど見て見て下さいと言われて、今は毎日が楽しみだけれども、待ち遠しくて気の遠くなるようなジリジリとした時間を過ごしている。もっとも正式に書体が決まったのは最近らしいが。

    私自身も、ついでに告ってしまえば、実は今「篁輝」埋め駒を製作中のあの謎の駒師も、「水無瀬兼成」や「安清」の完成1年以上待機組の同好の士なので、Iさんの気持ちは十分に理解できるのだ。だからこそ、Iさんには敢えて私の手元にある由進駒を見せて、ねっ、良い駒でしょうと言って、彼の子供のように羨ましそうな表情を見るのが、性格のあまり良くない私の密やかな楽しみなのだ。(何という奴だと思われたら、ゴメンナサイです)

    このIさんは、数年前に勤め上げた役所を定年退職して、今は悠々自適の暮らしである。全ての持ち駒は、立派な奥山正直の平箱に入れて大事にしている。敬うべき駒収集愛好家だ。40年以上前、最初に仕事で出張したのが天童で、そのとき初任給の2か月分を注ぎ込んで、香月の盛上げ駒を購入したのが始まりだった。将棋は、若い頃からの趣味だったのだ。

    今回、Iさんは、友人のFさん(同僚だった人だ)と一緒に蕎麦を食べに来た。Fさんも趣味人で、自宅には平山郁夫の絵や、人間国宝の焼き物などがあるのだが、ご本人は別に絵も陶器もそれほど熱中している訳ではありませんと、欲に走らずいたって謙虚で、こんなスタンスだから逆に良い物に触れ合えるのかも知れない。

    手打ち蕎麦を食べ終えて、お茶の時間になったとき、Iさんに、最近知った由進の近況などをお知らせした。

    88作以降、号を『出石』(いずし)と名乗ること。現在は、「淇洲」の盛上げが始まり、斑入りの「怒濤流」や、根杢の「清安」、赤柾の「錦旗」の製作にも取り掛かっていること。だからIさんの「安清」はやはり1年待ちになるだろうこと。それに付け加えて、駒木地を知りたいと要望されたので、駒木地を丁寧に説明する杉亨二木地師のHP「将棋駒の木地」(www.ac.auone-net.jp/~kijishi/)
    など・・・。

    そう言えば、今、想い出した。

    2年半前の2011年の春、初めて由進は、自ら大内9段に完成した巻菱湖を持参して届けたのだった。そのとき、話の流れの中で、大内9段がさりげなく言ったことを憶えている。

    「由進さん、これからは号を考えなければいけませんねぇ。出身の伊予の国を表すような号が良いと思いますけど・・何か良い名はありませんか?」

    「いや、これからゆっくりと考えてみます・・」

    その大内9段の言葉に、伊予の山の名であり地名でもある『出石』の号で、2年半かけて応えたのが、88作を機に由進が選び取った決断だったのである。

    お茶の後で、Iさんとは再会を約束して別れた。互いに車の運転があったから、酒席になだれ込む訳にはいかなかった。

    今頃Iさんは、いまだ手にしていない由進=出石の駒を恋焦がれているに違いない。

                                       y ryouko
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    category: 日々流動

    thread: 極私的将棋駒の快楽  -  janre: 学問・文化・芸術

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