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    Tsuruki Jun<鶴木遵>の原風景 《絶対零度》

    鶴木遵の本、新しい挑戦、趣味である競馬、将棋の駒、男の手料理、めだかやミジンコ飼育、犬猫のよもやま話、など四季折々に感じたことを発信していきます。

    真夏の旅 ⑤ 7月22日その後 

    JT

    今回の2泊3日の東京遠足。カメラを忘れたことは、返す返すも残念至極だった。でも、この暑さで、もし持参していたとしてもカメラが汗まみれになって用をなさなかったのかも知れない。

    新宿御苑前に着いたのは、2時過ぎだった。地上に上がると新宿通り。すぐ近くに通りに面して青山碁盤店がある。

    すでに店主青山恵昭と由進は、メールを通して連絡を取り合っていた。グアム在の駒ファンで、おそらく中国系米国人であるS氏から問い合わせを受けて、青山恵昭がメールを出したことがきっかけだった。

    話は発展して、今回、由進は、彫駒用に最近新たに仕上げて創った「与志於加」書体をプレゼントしようと考えていたのだ。

    自らの名をつけた「与志於加」書体は、シンプルな楷書体で、本人曰く、「まあ、これが私流のオーソドックスなる『錦旗』と思っていただいたら良いんですが」とのことだった。確かに、ずっとそばに置いて使い続けても飽きない形になっている。ただ青山恵昭にとっても頭を悩ませる課題は、ある。誰がこの彫駒を作るかということだ。由進は、盛上げ駒師だ。となれば、この書体に流れる心を汲み取って仕上げられる彫駒師がいないことには完成しない。私の頭の中で、ふと閃いたことがあったが、素人がしゃしゃり出てもいけないと考えて、まだ口にはしないことにした。

    それからの3時間、字母や書体のこと、盛上げ駒製作時の注意すべき細かな配慮、最初の頃の漆の苦労譚・・など、いろいろなことが話題となって、時間が過ぎて行った。

    黒檀の木地に白の漆で「昇竜書」(これは所謂奥野錦旗の型である)が刻まれた初代竹風の駒と、杢木地に盛上げられた初代独特の「昇竜書」雛駒の2種を、青山恵昭が見せてくれたとき、すぐさま由進が言った。
    「いやぁ、これは素敵な字母ですねぇ・・初代の雰囲気が詰まってますよね・・」

    先月、先に私が訪れたとき、ブログに初代の作の板目交じりの彫駒を紹介したが、何と「鶴木ブログに載った駒を見せてください」とお店を訪ねて来た駒ファンもいたらしい。思わぬ反響に青山恵昭自身が驚いていた。

    池袋のホテルに戻ったのは、夕方5時半過ぎだった。

    さすがに私のポロシャツも汗が染みついていて、もう限界だった。すぐにシャワーを浴びてひと休憩。しかしこの後、もう一度出かけなければいけない。

    「駒師由進」本を通して知り合った杉並のMさんが、ぜひお会いしたいと、由進と連絡を取り合っていたからだ。

    このMさん、私は建設関係と聞いていたが、設備の仕事をしながら、今は北田如水の元に通い駒を学んでいる。ある日、駒研の例会の帰り道、喫茶店に寄ったら、そこに蜂須賀師と待ち合わせていた杉享治師と偶然出合い、二人の憧れの先人を前にして話をしたのだが、初心者ながら熱心で、熱心さが伝わったのか、杉師は、
    「いまどきあんな気持ちで駒を作ろうとしている子は珍しいよ。聞けば、由進さんに教えを受けているって言ってたよ」
    と、由進に電話してきたらしい。今、駒のことを考えるのが楽しくてならない時間に生きている。

    そんな彼が、教えを受けるスカイプではなく、生の由進と初めてのご対面となるのだ。

    ホテルを出るときは、スコールのような雨が降り出していたが、近くの東急ハンズの前で待ち合わせて合流。そのまま夜11時まで、再び駒談義の時間となった。勿論、私は二人の話の聞き役だったのだが・・・。でも今日は1日中話をしていたような気がした。

    明日は5時半に起きて現場に入るMさんとの別れ際、私は5手詰めの詰将棋を手渡した。実はこの問題は、前日の将棋少年M君に瞬時に解いてもらった問題だった。飯島栄治7段の出題は、これをきっかけにして始まったのだ。

    今日の杉並のMさんは、一目でどういう訳かエアポケットに入り込んでしまったらしい。眼がクルクルッと回らずに、泳いでしまった。だから照れくさそうに、明日出勤するときに考えてみますということで今日は判れた。
    まあ、酔いもあったし・・。由進からは、
    「酔ったときに、詰将棋はいけません」
    と、注意も受けてしまったのだったが・・。

    3日後の一昨日(7月25日)にメールがあった。正解が記されていた。初対面のMさんの印象から、自分で考え抜いた正解だと疑わなかった。それは良かったと思い、私はメールを返信した。

    『解ってしまえばいとも容易いことでしたね。解ってしまえば、何だこんなことかという事柄は、世の中には随処に転がっています。たぶんこれからの駒作りも同じことが待ち受けているに違いありません。解ってしまうまでは、頭を固くせずに奮闘してください・・』

    杉並のMさんのメールには、「今の私は由進師の何番目かの、たぶん2番目の弟子だと思ってます」とも書いてあった。駒師由進を慕う輪は、確実に増えている。喜ばしいことだ。

    この夜、私はエアコンを強くかけて熟睡した。隣の部屋の由進もそうだったろう。

    明日は、朝10時に千駄ヶ谷の連盟に行く予定だ。

    ※この項、さらに続く。
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    category: 異化する風景

    thread: 異化する風景  -  janre: 学問・文化・芸術

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