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    Tsuruki Jun<鶴木遵>の原風景 《絶対零度》

    鶴木遵の本、新しい挑戦、趣味である競馬、将棋の駒、男の手料理、めだかやミジンコ飼育、犬猫のよもやま話、など四季折々に感じたことを発信していきます。

    電王戦第2局 

    由進作 勝運駒

    3月30日(土)の昼前と夕刻に、将棋電王戦第2局を、ニコニコ動画で覗いてしまった。

    痩身の30歳佐藤慎一4段が、和服姿でCPポナンザと闘っていた。

    午前中は、ポナンザの定跡破りのような序盤戦。受けて立つ少し頬がこけた印象の佐藤4段に、奇妙なまでの真剣さが漂っていた。

    そこでプレミア会員ではない私は退場。

    そのまま私用をこなして、夕刻、90手8二飛あたりでもう一度入場できた。

    それほど棋力に自信がある私ではないが、戦況が佳境に入っていることは理解できた。

    私のパソコンにも金沢将棋のソフトが入れてあり、たまに退屈すると開いてみるのだが、どうも終盤にCPが読み切ってしまうと、実にいやらしく、いつもその可愛げの無さに腹を立てている。人間同士なら、ときに愛嬌を見せてとちる場合もあるのだが、どうも機械って奴は、精度を誇るものだから、浅ましいほどにいやらしいのだ。決して友人にはしないタイプである。

    100手前後からは、完全にポナンザは読み切っていたのだろう。後で確かめると、愛嬌なしに傲慢なほどに攻め切ってしまった。緩みも武士の情けもなく、容赦ない程にだ。容赦のない戦(いくさ)は、かの戦国の時代にさえも、世の評判は生まれなかった筈なのに・・。

    いや、決して敗者となった佐藤4段に同乗しているわけではないのだが・・。でもあの頬がこけた彼の和服の風情は、追い詰められた表情とマッチングして、自らを「逆境のアーティスト」と称するように、観る者を対局に引き付けていた。そう思う。

    ふと、私の中に力道山の姿が浮かんだ。かの名プロレスラーである。

    そうなのだ。この電王戦は、あくまでも興行なのだ。世間の注目を集めて、プロレスで言うなら、入場料その他をかき集めて成功とされる興行なのだ。

    ニコニコ動画の立見席で、私は入場料すら払わなかったが(プロレス全盛の時代だって多くの観客はTV中継で無料で楽しんでいた筈だ)、少なくともそこで繰り広げられている光景に、自然と心を引き寄せられていたのだから、興行としては、佐藤4段のキャラと相まって大成功だったろう。

    勝負と興行は、明らかに違う。電王戦の場合には、CP側は「現役プロ棋士を初めて破る快挙」というご褒美がついているが、プロ棋士の側には、たとえ勝ったとしても得られるものは何もない。せいぜい出場したギャランティと名前を売ったことぐらいである。

    プロ棋士とは、タイトル戦にこそ命と存在理由を賭ける存在なのだ。いかにCPとの将棋に勝ち抜こうとも、タイトル戦の頂点にある名人の前では、上座を譲らねばならないのは自明のことである。

    私は、生身の人間同士が、それ故生々しく勝負に挑む世界に共感する。勝負の神様(女神かも?)が、集中の果てに降臨する瞬間を見て、震えるような感動を味わってみたいからだ。

    だから、今の電王戦には、興行以上の価値を見いだせない。

    エッ?いつか来たるべき日に、将棋連盟が、CPを奨励会に入会させたらって?それが昇段を果たして、プロになって、順位戦を勝ち上がったらって?A級入りしたCP同士が、もう一つ勝ち上がって、名人位を争ったらって?

    うーん・・。そのときには、S.キューブリックの映画「2010年宇宙の旅」のCPハルのように、CPにもそれなりのキャラが生まれているのかも知れないし・・。

    でも、やがて「プロ棋士養成機関である奨励会にCPを参加させよ」という圧力が生まれて来るように予感するのは、今や私だけではないだろう。誰が最初にCPの師匠になるのか?

    ただただ、そんな事態が起きても、人間が、その権威を保って欲しいと願うばかりである。まさかCP名人に、人間が上座を譲るなんてことは起こらないと信じたいが、近未来に何が起こったとしても不思議はない世の中である。

    ああ、また判らなくなってきた。結局、将棋(囲碁も含めて)は、数学と統計で成り立っているものなのか?勝負感とか、勝負の機微って何なのだろうか?それも数学や統計で割り切れるものなのか?だとしたら、人の想像力っていうのは、いったい何なのだろうか?・・・。

    今は、すぐに答えがありません。ちょっと本棚から数学の参考書を持って来なければいけません・・・。
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    category: 日々流動

    thread: 異化する風景  -  janre: 学問・文化・芸術

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