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    Tsuruki Jun<鶴木遵>の原風景 《絶対零度》

    鶴木遵の本、新しい挑戦、趣味である競馬、将棋の駒、男の手料理、めだかやミジンコ飼育、犬猫のよもやま話、など四季折々に感じたことを発信していきます。

    one more cup of coffee~くつろぎの時 

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    秩父の山深くに分け入って、最後に2000m級の山を越えると、そこは甲斐の国。裏富士が眺め渡せる富士(不死)の国だ。今は、国境いに雁坂峠を通過するトンネルが開通して、市内から甲府までは1時間半ほどで行ける。

    関西圏に行くのもこのルートを通って甲府昭和から中央高速に入ると、京都までなら5時間だ。意外に近いのである。

    その甲斐の国の東京よりの場所に都留市がある。そしてその町の都留文科大学の近くに店を開くのが、コーヒー店「バンカム都留」だ。おいしいコーヒーを飲める店として、評判が高い。

    その理由は、店主中村操が創り上げた。一説によれば、コーヒーを研究するために、エチオピアやイエメンそして中南米まで足を運びもしたし、店を開く前には、借りた物置で焙煎の研究に明け暮れたなどという伝説もある。最高の癒しの一杯を、どうやって提供するかと、悪戦苦闘の前半生だったのかも知れない。しかしそれは、おいしいコーヒーとの評判となって結実した。

    その「バンカム都留」のコーヒー豆を、昨年「駒師由進」本を通して知り合ったマツ・キ・タ・ミコさんが、2刷のお祝いとしてプレゼントしてくれたのだ。私が、敢えてマツ・キ・タ・ミコさんとお呼びするのは、彼が、家族の絆として駒を愛しているからである。マツ・キ・タ・ミコとは、家族の集合名なのだ。

    届いたのは、マンデリン200gとモカ200g。すでに包み紙の内側から、コーヒーの香りが漂っていた。

    開けると、ピカピカに磨き上げられたように、光り輝くロースト豆が現れた。見るからに味わい深さが伝わってくる。

    でもそのときは、残念ながらすぐには飲めなかった。私は、机の前で、結構な量のコーヒーを飲む。何度も行ったアメリカ流に、最近は大きめのコーヒーメーカーで済ましていた。だから、以前に手に入れていたミルは、いつの間にか処分してしまっていたのだ。

    そして3日後、何とか「バンカム都留」テーストを味わえる時が来た。

    ゆっくりとお湯を注いで、豆が泡立つのを確かめながら、ドリップした。

    最初の一杯は、マンデリン。スマトラ島のアラビカ種。何とも言えぬ強い香りが、嗅覚を刺激する。

    一杯のコーヒーをいれることが、何となく儀式のような感じがしてくる。

    労を惜しまず丁寧に手をかけることで、実は価値が自分の中で高まってくるのが判る。そう言えば、こんな感覚を忘れていたなと思う。

    スィッチ、ポン!のいい加減さは、出来上がったものに対しても、やはりいい加減になってしまう。アナログ的な面倒な手続きこそが、本物を創るという原理原則。それは、神が宿る人の手の可能性を信じることなのだ。

    まだ出来上がったばかりで湯気の立つマンデリンを、ゴクリとストレートで喉に流し込む。

    ファーッと、香ばしい風味と深く独特な苦みが口の中に広がる。決して嫌味な苦さではなく、それは、あくまでもソフトに、まったりと濃くて深いのだ。それが、しばらく心地よく口の中に余韻を残して止まない。

    このマンデリンの個性をくっきりと浮き出してくるのが、中村操の鍛錬したローストの技なのだろう。

    そこには、コーヒー豆の主張を、主張として庇護してやるような温かみさえ感じる。

    そんな温かみが、私にも美味さとなって伝わってくる。

    この瞬間、私は全てを忘れて、一杯のコーヒーに身を委ねていた。それは、久しく忘れていた心からの癒しの時だった・・・。

    そう言えば、もうそろそろ、「バンカム都留」の棚に、「駒師由進」本も並んでいるだろう。

    次は、モカタイム。すぐに飲みたいけど、ずっと、とっておきたい気もする。


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    category: 日々流動

    thread: 異化する風景  -  janre: 学問・文化・芸術

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