Admin New entry Up load All archives

    Tsuruki Jun<鶴木遵>の原風景 《絶対零度》

    鶴木遵の本、新しい挑戦、趣味である競馬、将棋の駒、男の手料理、めだかやミジンコ飼育、犬猫のよもやま話、など四季折々に感じたことを発信していきます。

    2016日本ダービー・東京芝2400m~川田将雅・感動の嬉し涙 

    埴輪馬
    五月晴れ、快晴の東京競馬場。
    朝から府中に向かう電車は込み合っていた。その理由は、日本ダービー直前に判った。東京競馬場に集った大観衆は、15:00現在で13万人を超えていたいたのだ。レコードタイムが刻まれ、その上位馬たちが順調に調整されて迎えた日本ダービー。
    果たしてどの馬が、王者となって頂点に昇りつめるのかと、心を躍らせて観守りたいる気分が、ファンを競馬場へと誘ったのだろう。
    私もその一人だった。

    皐月賞の強風の天候、掛かったリオンディーズが作ったハイペースのレコード決着を考慮すれば、まだまだ出走馬の力の序列は定まったとは言えないと、私はずっと考えていた。

    レコードタイムの皐月賞馬の誕生は、ハイペースの流れを自らに利したひと追いが生み出したものだとみていたのである。ならば、ハイペースの流れの中でそれでもゴールまで耐えきろうとした馬たちには、まだまだ復権のチャンスがあるのではないかと思えてならなかったのだ。
    だから、それなら臆することなく心から応援したくなるような馬に絞ってみようというのが、今日の第83回日本ダービーにおける私自身の最大のテーマだった。

    とはいえ、ディープインパクト産駒3頭、キングカメハメハの産駒2頭の皐月賞上位馬5頭の勢力図が大きく変わったなどとは少しも思えなかった。おそらく皐月賞2着馬マカヒキから、リオンディーズ、エアスピネル、サトノダイヤモンド、ディーマジェスティを買えば、馬連馬券は獲れるだろうと予感していた。
    しかし、それではつまらない。もっと絞って手厚く仕留めなければ、ダービーに参加する醍醐味はないじゃないか?

    そう、妙に強気だったのである。
    強気になった理由は単純だった。ここしばらく(と言っても、東京開催になってからのことだが)、何となく閃いて運試しと思って少しだけ購入すると、奇妙にそれが的中するのだ。土曜も、午後からGCを軽い気持ちで眺めていたのだが、9Rの富嶽賞ダート1400mで、ふと閃いてルメール・アナザーバージョンから戸崎ラテラス、関西で頑張っている中谷雄太ケイリンボス、蛯名クワドルーブルに3点馬連で流してみたら、ケイリンボスが勝って2着がアナザーバージョンと決まって77倍。それ以上深入りしなかったからダービー資金ができてしまった。つまりダービーを負けても、マイナスを背負わずに元に戻るだけというある種幸せな状況で、それならと強気になれたのである。流れは悪くはなかった。

    「優駿」の部屋に到着したのは昼前。隣に座った血統の山野浩一とときに話しながら、ダービーを待っていたが、ダービーと同じ距離の1000万特別8R青嵐賞のとき、
    「ねぇ、鶴木君。ディープ産駒のいない2400mならハーツクライ産駒で決まるんだから」
    と、耳元で囁かれ、「それなら乗ってみましょうかね」と、3頭のハーツクライ産駒の馬連ボックスで少々のお付き合い。これも人付き合いだからという軽い気持ちだったが、みごとにハーツクライ産駒が1着から3着までを独占して、馬連は26倍。どうせなら3連単のボックスにしとけば良かったのに、という声まで上がってテーブルは賑やかだった。確かに4万2千円の配当を見れば、そんな声が上がるのも無理からぬことだった。それよりもこのレースの決着タイムが2分25秒1。となれば、ダービーは2分24秒かそれを切るくらいの決着タイムだろうと予測した。ならばアクシデントに見舞われずに折り合えば、私の応援馬は頑張るだろう。そこにマカヒキが襲い掛かってくるはずだ・・・。

    パドックを見終えても、私は、狙いを変えなかった。

    関係者にはつれない言い方になってしまうが、どう好意的に推理しても、皐月賞馬ディーマジェスティが2冠馬となって、騎手蛯名正義がダービーを制するシーンがイメージできなかった。だからテーブル席では、「勝負事には光と影があるんです。騎手蛯名正義には、ここでもまた頂点の光を逃して、影の中で悔しさにまみれる姿の方がより風情を感じますから」などと、敢えて憎まれ口を叩いていた。
    「調教師が狙いはダービーと発言するのは、実際そうであっても、クラシックレースの威厳を冒涜するものでしょう。結果を出して、レースが終わってからなら納得もできますけど・・」つまりは、今日サトノダイヤモンドは応援しないという意志表示だったのだ。

    となれば、私の狙いは簡単だった。
    マカヒキの破壊力と、感謝を込めて、私に競馬の何たるかを教えてくれ続けた伊藤雄二流儀の後継者笹田厩舎のエアスピネル、そして皐月賞では「らしくない」ミス騎乗だったデムーロ・リオンディーズの復活。この3つのドラマが見たいがために、今日私は、東京競馬場に来たのだ。
    立場によっては無理筋に思えるかも知れないが、私は私自身が納得して主張してみたいと譲らなかったのである。良い子の振りで、昨日からコツコツと蓄えた資金を分散させて当てにいくのは、どう考えても好みじゃなかった。

    でも、同じテーブルにいた旧知のY爺から「せっかくだから3連単を買っておけば」と声を掛けられ、ならばとY爺に意地を張って、選んだ3頭のボックスに、敢えて3着のところに、最終追い切りのとてもよかった松国厩舎のスマートオーディン、去年の芙蓉Sで注目したプロディガルサンを付け加えた3連単を100円単位で購入し、これが勝負馬券だよと見せ馬券にした。これが良くなかったのかも知れない・・・。浮ついていた証拠と言えるだろうし・・・。

    スタートしてから3コーナーまで。
    武豊エアスピネルは好位5番手を確保した。川田将雅マカヒキは中団のインに待機。1番枠からスタートした蛯名正義ディーマジェスティは巧みに馬を誘導し、中団のマカヒキのすぐ後ろのやや外にいる。マカヒキの前方にルメール・サトノダイヤモンド。デムーロ・リオンディーズは後方2番手で折り合いに専念しているようだった。しかし、デムーロは、ここ1発の攻撃的なギャンブル騎乗こそが持ち味なのに、その攻撃性が今日は影を潜めて守りに入っているように感じられてならなかった。

    4コーナーを廻る。
    馬場の5分処を廻ってエアスピネルの気配がいい。これは!!と一瞬心が騒いだ。サトノダイヤモンドはマカヒキよりも前にいた。

    残り200m地点。
    エアスピネルが先頭に躍り出る。外からサトノダイヤモンドが迫る。この2頭の間隙をついてマカヒキがグーンと伸びてきた。

    残り100m辺りでエアスピネルを交わしてマカヒキが先頭に立つ。サトノダイヤモンドが譲らず追いすがる。そこに外からディーマジェスティが伸びてきたが、両馬を交わし切るような勢いはない。

    最後は、マカヒキとサトノダイヤモンドのハナ差の攻防となった・・・。

    写真判定が掲示された瞬間、場内はワァーッと大歓声が響いた。マカヒキは勝っていた。
    このときダートコースにいたマカヒキの馬上で、川田将雅は馬上から大観衆に向かって頭を下げて感謝した。
    おそらくゴーグルの奥では、感動の嬉し涙が零れていたようだった。嬉し涙を流せる幸福感が、ダービー制覇の事実を、騎手川田将雅の脳裏に深く深く刻み込んでいっただろう。川田将雅はダービー10回目の騎乗で、晴れて誇り得るダービージョッキーの座に輝くことになった・・・。

    府中・三松で恒例の飲み会を終えて帰路に着いたとき、私は、改めて皐月賞上位馬の今日のダービーでの健闘をひとり称えていた。馬券で応援しなかったとしても、競走馬に対する敬意を払う姿勢ぐらいはある。

    マカヒキ万歳、サトノダイヤモンド万歳、ディーマジェスティ万歳、エアスピネル万歳、リオンディーズ万歳、そして日本ダービー万歳!
    懐具合が元に戻った私自身にも、何故か万歳。まだ安田記念があるじゃないか。だから万歳と、少しだけ自分を励ましながら電車に乗った・・・。








    スポンサーサイト

    category: 競馬

    CM: 0 TB: 0   

    2016 オークス(東京芝2400m)~シンハライト戴冠 

    埴輪馬

    桜花賞馬ジュエラーが骨折、メジャーエンブレムがNHKマイルCのマイラー路線に転じ、池添謙一シンハライトは、その実績からしてもほぼ1強の状況下でオークスを迎えたのは間違いない。

    コディーノの妹馬チェッキーノがトライアル・フローラSを差し切って、直前に人気が上がっていたが、2400mに挑む藤沢和雄厩舎ということ、加えて血統的にも2000mまでの中距離というイメージが、私には付きまとい、どうしてもシンハライトを差し切るイメージは持ち得なかった。

    それなら人気を考えると、もっと新興勢力となる横山典弘ジェラシーや、四位洋文ペプチドサプルや、ここのところ以前の激しさが鳴りを潜めた印象のある岩田康誠のアドマイヤリード、昨秋にメジャーエンブレムを差し切った川田将雅のデンコウアンジュらの方が面白いのかなと考えながら、そのときを迎えた。

    私にとっては、このオークスは、実はシンハライトがどんなレースをするかという関心だけが最大の関心事だったのである。

    スタートして、桜花賞よりやや後ろの中団後方のインに待機したシンハライト。ペースは前半5Fが59秒8のやや速いペースで流れたが、この位置では、自分のペースを守ったということだろう。

    もし池添謙一に少しだけの誤算があったとしたら、4コーナーを廻ってホームストレッチを迎えたとき、力量差を意識すれば、もう少し楽に抜け出せると考えていたことではなかろうか。

    直線を迎えて、インにいたシンハライトは、なかなか自らの抜け出す進路を確保できなかった。前を進んだ馬たちもなかなかばらけずに粘っていたからである。クラシックレースのG1戦ならそれも当然と言えば当然である。

    右左とチャンスを伺い続けた池添謙一が、ようやく見つけた一瞬開いた道は、坂を上り切った辺りだったろうか。しかし外から並んで来ようとした川田将雅デンコウアンジュにとっても、その一瞬開いた道は譲れぬものだった。

    外からシンハライトを締めようとするデンコウアンジュ。一瞬早く最終便となる進路を確保しようとインからデンコウアンジュを弾き飛ばそうとするシンハライト。両馬は互いにぶつかり合いながら同じ進路を目指した。

    結局弾き飛ばしたのは、余力を持って勢いのあるシンハライトだった。ぶつかり合って怯んだデンコウアンジュの馬上で、川田将雅は手綱を引いて立ち上がる状況に見舞われた。ここでシンハライトが負けなかったことで、オークスは本来のオークスに戻ったのだとも言えるだろう。

    そこからゴールまでのおよそ僅か150mで、様相は大きく変わった。シンハライトのいっきの差し脚が炸裂し、女王の座へと駆け上がって行った。

    他馬との力の違いは明らかだった。

    もしジュエラーが無事で2400mをもOKなら、おそらくこの両馬は、オークスでも3度目のゴール前の決戦を展開してくれただろう。その意味では、秋の秋華賞は、メジャーエンブレムと3頭揃い踏みの決戦が展開されるのかも知れない。もう待ちどうしくてならないというのが、オークスを見終えての率直な感想となった。

    決着タイムは2分25秒0。昨年のミッキークィーンと同タイムである。

    直線坂上のせめぎ合いの事象を理由として、騎手池添謙一には、ダービー週の2日間の騎乗停止処分が科せられたが、8年前のトールポピーのときとは違い、今回は最終最後の勝負処で一瞬の勝負に出た結果であり、私には、競馬が馬上の格闘技である以上、あそこで闘わないことの方が嘆かわしいのだと言わざるを得ない印象である。

    とにもかくにも、勝つべき名牝が、力通りに勝ち抜いたオークスと、私の脳裏に刻まれていく結果だった。

    週末は、日本ダービーである。すでに狙い馬は3頭に絞っているのだが、その結末や如何にである。
    やはり勝つのは、あの馬だ!!と、確信している。




    category: 競馬

    CM: 2 TB: 0   

    2016 ヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)~熟女の奮闘 

    埴輪馬

    5月15日、東京競馬場での古馬牝馬によるマイルのG1戦ヴィクトリアマイル。昨年のJC馬から、昨年の覇者や2冠馬を含めた牝馬クラシック馬たち、それにここしばらくの上り馬たちが揃って出走し、印象ではかなりのハイレヴェルの勝負となることが、初めから予想された。

    だからこそだろう。レースを凝視めようとした私の心も、限りなく正解に近づきながら、同時に限りなく正解から遠ざかって、週末の時間の流れの中で揺れ動いたのだった。

    現実となって展開した光景は、私自身の推理予測した光景とは別世界のものとなったのである。

    負け惜しみで言うのではないが、大局観は決して間違ってはいなかった。しかし、おそらく細部の見落としの甘さが、私の日曜午後3時40数分の瞬間の、近未来への予測予言を実現させなかったのだろう。そう、私は熟女の底力を疑い、ならばとピチピチの艶肌のの若い女体を選んでしまったのである。

    ≪金曜の朝≫
    前夜に録画したGC の「今週の調教」で最終追い切りの様子を確かめながら、出馬表を見たとき、
    「ほぼ一線級のメンバーが揃って出てきたな」と、最初に思った。同時に、
    「これなら激戦になるだろうが、そんなときにモノをいうのは出走馬の格に他ならない。結局は実績馬上位の勝負となるはずだ」
    「となれば、逃げるか好位で競馬をするスマートレイアーがレースの前半を支配して、それを目がけて、直線ではショウナンパンドラ、ミッキークイン、ストレートガール、ルージュバックが殺到してくる。必ずそんなレースになるだろう。直前に競馬マスコミで穴人気になる馬たちがいるが、そんな上り馬がもしいるなら、それは化け物級の馬であり、たぶん今回はいない」

    ≪金曜の深夜≫
    「スマートレイアーが前を行くのは、後続の馬たちには解っているはずだ。池添、浜中、戸崎、ルメールらがその対処法もなくやみくもの騎乗するとは考えられない。だとしたら、直線の長い府中のマイル戦で、格好の目標となるスマートレイアーは良くて3・4着ではないか」
    「勝負するならミッキークイーンとショウナンパンドラの1点。そこから抑えるなら、ストレートガールとルージュバック」
    「戸崎は、何故若いルージュバックではなくもはや7歳牝馬のストレートガールに騎乗するのだろう?」
    「府中のマイル戦は二つの傾向がある。強いスプリンターが長い直線をものともせず走り切ってしまう場合と、本質は中距離場なのだが長い直線を利してマイルのスピード競馬を克服してしまう場合だ。勿論それを成し遂げる馬はSクラスの強い馬だけなのだが・・。前者の例は、例えばロードカナロア。今回ならストレートガールか。ただ去年の覇者であっても去年はミナレットが3着を確保できるレースだったのも事実だし・・また香港遠征後に一度は引退を決めていたのも何となく本命視するには嫌だった・・・。後者の例は、今回ならJC馬ショウナンパンドラに牝馬2冠馬ミッキークイーン。今の勢いならショウナンパンドラもミッキークイーンも大丈夫だろう。まだちょっと理解できないでいるのが、ルージュバックとなるのだが・・・」

    ≪土曜の夕刻≫
    「今日の京王杯で浜中駿はダッシングブレイズで4着。こういう形で落馬負傷から復帰した以上、明日は以前の攻撃的な浜中駿を期待してもいいのではないか」
    「で、私の軸馬は、ショウナンパンドラなのかミッキークイーンなのか?1点ならこの組み合わせだが、ストレートガールとルージュバックを抑えるならどちらか決めなければ・・・」

    ≪日曜の午後≫
    午前中は競馬のことは努めて考えないように過ごして、机の前に座ったのは1時を過ぎた頃だった。改めて出馬表を眺めたが、2頭のどちらを軸にするかは、まだ決めかねていた。迷うことなく馬連5点でいいと考えるのは、私の場合は、過去の経験を照らし合わせると誤りなのは判っていた。そのときは良いかも知れないが、長いスパンで考えると、それを3点に絞る作業をすることが私には重要で、結局は競馬を長く楽しむ結果となって来たからだ。それで多くの悔しさを覚えたこともあるが、それなりの獲物を射抜いたこともある。絞る作業というのは、頭も使うが、それより多くの体力が必要だ。粘って考え抜く体力。粘らずに、こんなものさとか、まあいいじゃないかと一度でも己に許してしまうと、それは転落の始まりとなって行くのだろう。それこそは、本当はどんなジャンルにも共通する真実であるに違いないと、そう思っているのだが・・・。

    ≪日曜午後2時20分≫
    気分転換にと思い、何となく閃いた第9R芝2000mのテレ玉杯を、今日の運試しにと馬連2点を少しだけ買ってみた。河内洋厩舎のゴールドテイラーから国枝厩舎のカレンリスペクト、高柳厩舎のデルフィーノへの2点だった。調教師国枝栄の強気なコメントに惹かれ、デルフィーノは本命馬だった。これがゴールドテイラーとカレンリスペクトで決まり、何と運良く今日のメインレースの軍資金となってくれた。ツキがあるのかなと安心したが、デルフィーノで惨敗したのは戸崎圭太だったので、その印象が逆に災いしてしまったのかも知れなかった。

    ≪午後3時過ぎ≫
    パドックから返し馬を見て、決断する時を迎えた。前走より明らかに仕上げてきた-10Kgの引き締まった馬体を見て、この瞬間に、私の今日の軸馬は池添謙一ショウナンパンドラに決めた。JCのみならずマイルでも決め打つ差し脚を持ったオールマイティの牝馬誕生のドラマに結局は大きな期待を抱いたのだとしか言えない。相手は、大本線に浜中駿ミッキーアイル、少々の抑えに戸崎圭太ストレートガールとC.ルメールのルージュバック。
    私が見たいと願った競馬シーンは、ゴール前でスマートレイアーを交わして粘り込みを図ろうとするストレートガールに、先ずはルージュバックがインから並びかけようとし、次の瞬間に馬群を抜け出してミッキークイン、次にショウナンパンドラが大外から襲いかかって勝負を決するものだったのだが・・・。

    ≪レース≫
    定刻にスタートしたレースは、前半に先行したい各馬の動きがあって、3F33秒8、5F57秒2のハイペースとなった。武豊スマートレイアーは2・3番手に先行したが、自分のペースを守ってという訳にはいかなかった。
    このとき、中団10番手辺りの馬場3分処のポジションにストレートガール、その直後にミッキーアイル、その外にショウナンパンドラが互いにマークし合うような位置取りだと言えた。

    第4コーナーを先頭で廻ったのは、折り合いを失くして前に進んだ福永祐一カフェブリリアント。直後にいたスマートレイアーが多少外によれたこともあって、カフェブリリアントとスマートレイアーの間に、まるで奇跡のようなヴィクトリーロードが生まれた。

    その恩恵を最も受けたのは、ストレートガールだった。勿論、戸崎圭太もこの目の前に労せずして広がったヴィクトリーロードの瞬間を見逃すことはなかった。騎手の闘争本能が条件反射するように手綱を詰めて追い出し始めた。

    それからの7歳熟女ストレートガールの衰えを見せなかった走りは特筆ものだろう。後に続いたミッキークインにも、大外を伸びてきたショウナンパンドラにも、その影すら踏ませなかったのである。

    これこそが、海外でも好走した老練な熟女の鍛え上げた華麗なテクニックだったのだろう。

    ミッキーアイルが2着。ショウナンパンドラは3着。先行馬にストレスがかかったレースだったがスマートレイアーは4着を確保して、ルージュバックは5着だった。

    いやはや、1着から3着馬までを馬連で買っていて、最後に決断した軸馬がミッキークインではなくショウナンパンドラだったために、私の的中はならなかったが、上位馬の個性がはっきりと見られたレースとなり、満足度はかなり高かった(それにしても運試しの9Rに感謝であるのだが・・)。

    負け惜しみではなく、ミッキークイーンもショウナンパンドラも、これからの古馬中距離戦線での活躍が大いに期待できる結果だった。
    最高のレースは、最高の出走メンバーこそが作り出すものだと、そう思って納得して、この日の競馬を終えた。

    これからオークス、ダービー、安田記念とG1は続く。たとえその日敗れる結果となったとしても、さらに明日の成果を夢見て行くしかない。冷静に、したたかに、同時に集中と利欲に走らずにだ。
    それに徹するならば、♪そのうち何とかなーるだろう・・・という私のドラマの結末を迎えることもあるに違いない。
    人というのは、いつか真摯に願ったことを実現させる想像力を持っていると信じたいのだ・・・。

    それにしても7歳の熟女に乾杯であり、完敗だった週末だった・・・・。




    category: 競馬

    CM: 0 TB: 0   

    2016 NHKマイルC やはり強かった2頭~東京・芝1600m 

    埴輪馬
    長く感じられたゴールデンウィークの最終日。
    好天に恵まれ、多くの人々が明日からの労働復帰を前にして、一方で名残惜しそうに、あるいは慌しかった休日疲れにそろそろ飽きる中、NHKマイルCが行われた。

    私はと言えば、連休を楽しむ世間とは無縁で、R299やR140のあまりの混み様に、結局は街に出ることも、遠出をすることもならず、気分的にずっと外出することが躊躇われ、結局は本を読んだり、細々とした雑事をこなしたり、ウィスキーをあおって早くに眠ってしまったりして、時間を埋めていた。

    それでも土日になれば、G1戦がある。ダービーを控えたこの季節は、競馬真っ盛りのシーズンなのだ。だから私は、週末にはむっくりと起き上がって、燃え滾る男に変身するのである。

    春・天皇賞は、カレンミロティックの激走の余波でモノにはできなかったが、同じ日の東京スィートピーSの1点的中もあって大負けはしなかった。以前そうだったように、どのレースも無理に勝ち馬を探し出すようなことをせず、何となく神様の啓示を受けて閃きを感じたレースだけに絞って、近未来の結果への予言的推理を実行する。それなりの経験値があれば、これに集中して徹するだけで、結果は大きく違ってくるものなのだ。少なくとも負け数が減少するのは間違いない。25%の控除率からすれば、数学的には買えば買うほど胴元を利することになるのだから。

    エッ?閃こうにも知識がない?そういうお方には、「自ら励んで知識を積み上げなさい」と言うしかない。何事も最初の段階から楽をしては結果は出ません。楽して稼げる天下りの役人たちの存在が、どうも庶民に間違った近道のアプローチを教えているようだが、それはそもそも異常なことなのである。

    ともあれ、出馬表に眼を通して、私は、この3歳マイル戦のNHK杯をじっと考えた。
    昨夏のデビュー以来、マイル戦辺りの重賞で、「凄い!!」と、私を唸らせてくれたのは、どの馬たちだったろうか?と。

    NHK杯の出走メンバーを眺めながら、ここしばらくの時系列を遡ってみる。
    2つのレースが浮かんだ。ロードクエストが上がり32秒8の脚で大外から差し切った夏の新潟2歳S1600m。もうひとつは、2月東京のクィーンC。牝馬メジャーエンブレムがこの時期としては驚異的な1分32秒5のタイムで逃げ切ったレースだった。桜花賞4着は、明らかにC.ルメールのミス騎乗としか言えない。そう言えば、去年の戸崎ルージュバックも、流れを見極めることなくスタート直後に抑えてしまったミス騎乗だったことまで想い出した。いや、今年のNHK杯には関係ないことだったが・・・。

    では、どちらが勝つかは、どうしても断言できなかった。今回は、スピードに乗せて逃げようとするだろうメジャーエンブレム。豪快に追い込んでくるだろうロードクエスト。桜花賞の汚名をそそぎたいルメールと、最近とみに狙って大胆な追い込みを決められる騎手となった池添謙一。うーん・・どちらだろう・・・。

    じゃあ、狙いたい穴馬はいるか?と気分転換。
    ここ3走の成績からすると、あまりにも人気がなさそうな丸山元気ダンツプリウス。録画したGCで見た最終追切の気配も良かった。
    もう1頭。岩田シュウジ。調教師須貝尚介のコメントを見ると、「騎手が秘策があると言っていた」とあった。秘策が何なのかは少しも判らなかったが、最終追切に乗った岩田康誠にそう言わせるほど、馬の気配や状態が手綱から伝わってきたのは間違いない。
    今年になってマイル戦しか走っていない福永レインボーラインも気にはなったが、大外枠を嫌って狙い馬にはしなかった。

    で、結局は、メジャーエンブレムとロードクエストを厚めの大本線(1点勝負にしたかったが・・止めておいた)、ほんの少しだけ私の選んだ穴馬2頭からメジャーエンブレムとロードクエストへ抑えてみた。全て馬連だ。
    そもそも枠連の時代から競馬に関心を持った私は、余程その気がなければ3連単には手を出さない。1・2着馬は基本的にレースに絡んで走る馬であるが、3着馬は、レースを捨てて最後に運あれば漁夫の利を狙うハイエナのような馬でも確保できるのだ。着狙いはふてぶてしい賞金稼ぎの場合が多いものだ。

    競馬は、勝利を競ってこその価値と信じている身からすれば、着狙いの馬よりも、たとえ潔く散ってしまう結果となったとしても、勝利に向けてひた走った馬に美しさを感じるのである。だから3連単は基本的に買えないし、Win5は、レースを絞りたい私には難度が高過ぎることになる。

    実は、土曜の東京10R準オープンの緑風S2400m。何となく気が向いて(これが閃いたということだろう)、田辺サムソンズプライドから、ボウマン・アルターと蛯名トルークマクトへ馬連2点を、運試しにとオッズも知らずにほんの少しだけ買ってみたら、1着サムソンズプライド、2着トルークマクトで決まって、50倍を超える配当となった。それが幸運にもNHK杯の軍資金となったので、私の心は、負けて元々という気分で、日曜日を迎えていた。レースは絞って、新潟大賞典(これはレースをきちんと見ておくために藤岡佑介フルーキーから田中勝春ヒストリカルへの1点のみ)と、メインのG1NHKマイルCだけだった。数を打っても当たらないのが競馬だし、保険のないのも競馬だということは教訓として理解しているのである。

    そしてNHKマイルCを迎えた。

    スタート直後の200mと、直線最後の200mで、勝負は決まった。

    最初の200m。好スタートを決めたルメール・メジャーエンブレムが先頭を確保してレースの支配権を掌握。やはり持ち前の適性を活かして逃げの手に出た。となれば、他馬は潜在能力の高さを畏れて、無茶に競りかけるようなことはできない。自滅が待っているからだ。

    そのままレースは平穏に流れていく。

    4コーナー。後方3番手にいた池添謙一ロードクエストが大外から追撃態勢に入った。

    ホームストレッチ最後の残り200m地点。
    秘策で挑んだ岩田康誠シュウジがインから叩き出される。が、ここまでだった。そこに他馬が殺到する。集団から抜け出したのは、大外枠の不利を克服した福永祐一レインボーライン。しかしその前には、ペースを緩めずに逃げるルメール・メジャーエンブレムがいた。その走りには、まだいささかも乱れはなかった。そして大外から池添謙一ロードクエストが、これがオレの競馬だとばかりに上り33秒台の脚勢で追い上げてきた。

    ゴール地点。
    1分32秒8の決着タイムでメジャーエンブレムは逃げ切った。3/4馬身差の2着にロードクエストが迫った地点がゴールだった。クビ差でレインボーラインが続いた。

    ゴールイン直後にC.ルメールは、メジャーエンブレムの首筋を右手で軽く叩いてメジャーエンブレムを称えた。それから軽く拳を握り締めて、自らを納得させるように振った。そのアクションは桜花賞の屈辱のミス騎乗を克服した気迫に満ちていた。

    ホッとしたのだろう。それからのルメールには、あの目尻を下げてほほ笑む表情が戻っていた。

    2着ロードクエスト。騎手池添謙一には、今シーズン桜花賞、天皇賞に続いて3度目の2着だった。しかし、その大胆不敵な差し勝負には、まぎれもなく騎手池添謙一の魂が刻まれていたのは間違いない。狙いすまして追い込みを決める頼れる騎手に、もはや池添謙一は変貌しているのだ。

    4着にダンツプリウス。丸山元気の成長も確かに見て取れる結果だった。

    さて週末は、同じ東京のマイルG1・ヴィクトリアマイル。
    JC馬ショウナンパンドラ、ミッキークイン、ルージュバックらが揃う。
    あれあれ、ひょっとしたら、またも池添謙一とルメールが戸崎圭太を交えながら雌雄を決することになるのか?
    これは、騎手の存在理由を賭けた見逃せない大勝負となるはずだ。うーん・・・ならば私も、再度挑戦あるのみだ。

    ☆よくよく今日の出馬登録を確かめてみると、ミッキークィーンには宙に舞った落馬負傷から復帰する浜中駿、ルージュバックにルメールの騎乗で、戸崎圭太は昨年の覇者ストレートガールに騎乗だった。ケンタッキーダービー(9着)から帰国した武豊はスマートレイアーに騎乗する。さてさてどうなることやら・・・。








    category: 競馬

    CM: 0 TB: 0   

    2016春・天皇賞~5月1日京都3200m 武豊の絶妙なる逃亡劇 

    埴輪馬

    もし春・天皇賞のゴールが、菊花賞と同じ3000mの地点だったら、私が見たかったレースは、推理した通りに決着して、大きな幸福感と絶頂感とある種の想像的な征服感に満たされていただろう。

    4コーナーを廻って、逃げる武豊キタサンブラック。馬群から追い上げる吉田隼ゴールドアクター。まくり上げてきたこの日はまだ人気のなかった酒井学トーホウジャッカル。去年の菊花賞馬と有馬記念馬、そして一昨年の菊花賞馬の3頭。それは、今日の天皇賞で私が選び抜いた3頭だった。

    ゴールまで残りの200m。そこからは、4番手のインからスッと抜け出して伸びてきた8歳騸馬のカレンミロティックが池添謙一のここ一発を決めようとする手綱に応えて、逃げるキタサンブラックとの叩き合いのサバイバル戦となった。ゴール前、一度は交わして先頭に立ったカレンミロティックだったが、キタサンブラックはインからもう一度差し返す精神力を発揮して、ほぼ並んでゴールイン。

    勝者の栄光は、武豊キタサンブラックの頭上に輝いた。ペースを掴んでレースを支配していく騎手武豊の本来的な騎乗が大レースで久々に観られた。武豊には、瞬発力を生かして後方から差す武豊と、デビュー当初からきちんと身につけていた父武邦彦流の鮮やかに先行して粘り切る武豊の二つの顔がある。その一つが、キタサンブラックによって顕著に表れた天皇賞となった。

    最初の1000mを61秒8。次の1000mを61秒7。3000mの通過タイムは、3分3秒4。ラスト1F(200m)は11秒9。昨年の菊花賞を上回るペースで逃げて、勝負処からの残り4Fを、全て11秒台のラップタイムで逃げ切ったのである。それもゴール直前でインから差し返しての勝利だった。武豊の絶妙な手綱の芸は、この数字にも明らかだろう。

    キタサンブラックは、ブラックタイドの産駒である。ブラックタイドは、小柄な弟馬ディープインパクトとは違い、500KGの大型黒鹿毛の馬だった。皐月賞までは将来を嘱望された競走馬だったが、おそらく皐月賞の頃に脚部不安を発症して、その後は本来の素質を発揮できずに引退した。脚元さえ無事であったならと、惜しまれた素材だったのである。キタサンブラックは、父ブラックタイドの最高の姿さえも、今再現しているのだと思うと、やはり競馬は血のドラマなのである。

    17番枠の吉田隼ゴールドアクターにとっては、この大外枠が仇となった。スタートを決めて中団の前めの外にポジションを確保したが、敢えてポジション取りを狙ったこともあってか、スタートからゴールまで、妙に力んでいるようなストレスのかかった走りで、有馬記念や日経賞の再現とはならなかった。これが敗因だろう。捲土重来が望まれる馬である。

    15番枠の藤岡佑介サウンズオブアースをこの日は軽視したのは、皐月賞で騎乗停止処分にあったデムーロからの乗り替りということではなく、ネオユニバース産駒が3200mを構想するイメージがどうしても湧かなかったからだった。その読みは的中していた。

    -12KGの絞れた馬体で出走してきた酒井学トーホウジャッカル。2年前の菊花賞馬だが、昨年は宝塚記念(4着)札幌記念と2戦して未勝利。今年になって阪神大賞典(7着)から復帰してきた。続けてレースに挑めた今回は絶好の狙い目だったが、最後の1Fで力尽きて、結果は5着。しかし4コーナー辺りでは、グッと追い上げてきて、馬のみならず騎手酒井学の意地までもが伺えた。
    このまま連戦で出走できたなら、もうひとつ上の復活もあると確信できる走りだった。

    8歳騸馬池添謙一カレンミロティック。8歳の騸馬ということもあって、昨年の3着馬だったが人気の盲点となっていた。だが、この馬の好走は、騎手池添謙一のここ一発勝負の好騎乗以外の何物でもないだろう。池添謙一は、誇り得るオルフェーブル体験を通して、やはり頼れる騎手となって成長している。いろいろとあった経験さえも、今では整理されて糧となっているに違いない。思い起こせば、勝ちに逸って下手糞な騎乗だったトールポピーのオークス勝利と比べると、今では別人のような手腕が発揮されている。それが池添謙一の成長の証なのである。

    春・天皇賞。私自身は第四コーナーを廻った一瞬のシーンを観られたことで満足だった。
    というのは、同じ日、東京競馬場でのオークストライアル・スィートピーSを、義兄弟となる菊沢隆徳厩舎のジェラシーに騎乗した横山典弘から、このレース唯一の2勝馬石橋修フロムマイハートへの馬連を1点で買っていて、結局はそのプラス分で春・天皇賞に参加したことにもなって、少しの心の余裕があったからだ。
    でも、本音を言えば、あの4コーナーを廻った一瞬、「これで決まったか、2連発!!」と、心をときめかせてもいたのだった。

    それが私の、この日の「祭り」だったのである。
    そうなのだ。何も「祭り」は、北島三郎だけのものではないのだから・・・。私は、4コーナーでは確かに心の底でハミングしていた。
    ♪まあーつりだ、まあつりだ、春天まあつーりー・・・♪と。






    category: 競馬

    CM: 0 TB: 0