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    Tsuruki Jun<鶴木遵>の原風景 《絶対零度》

    鶴木遵の本、新しい挑戦、趣味である競馬、将棋の駒、男の手料理、めだかやミジンコ飼育、犬猫のよもやま話、など四季折々に感じたことを発信していきます。

    妄想の日々 

    先週、急遽決まった飛騨高山から三河路への旅から帰ってみると、やはり何となくバテ気味で、机の前に座っても、とりとめもない妄想をして時間が経つのをやり過ごしている。とは言え、何ら危ないことは考えてはいないが・・・いや、考えようによってはかな・・・。

    というのは、旅から帰って後、ひょんな縁から、東京の駒師Aさんの手元にあった駒用の板木地を入手してしまったのだ。
    こんな虎斑の板木地だった。
                        DSCN1923.jpg(板木地の中の1枚)

    私の素人目には、かなりの可能性がある板木地だと思えたのだが、
    Aさんによると、残念ながら成形すると通常サイズの40枚には足らないとのことだった。
    それならばと、雛駒ならどうかと思いついた。これならサイズ的に何とかなりそうだ。時間に余裕はあるから、木地成形ができる期待の星には、心当たりがある。ついでに彫りもお願いすれば、最近はメキメキと腕を上げているから、おそらく注目集める作品になるだろうし。いざというとき、やはり頼りになるのは、幸運にも知り合えた人の力だ。何と言っても、人の間に生きるのが、人間なのだから。なんちゃって・・・。
    でも、書体を決めるのは難しそうだ。たぶん、ああでもないこうでもないと、迷うに違いない。それも良しだろう。

    そんな折、出石2番弟子のM君が、自分の手元にあった駒作り練習用の駒木地を回してくれた。北田如水が成形した中国黄楊で、あくまでも駒作りの練習用だから駒研のメンバーに、何と1組5000円以下の価格で分けてくれているモノだ。

                        DSCN1921.jpg
    だからと言って、安かろう悪かろうではない。このレヴェルの駒木地である。
    前回譲ってもらったときには、何とかこんな風に戯れてみた。         DSCN1924.jpg
    桂馬の字母紙張りが左に寄っていたりして、相変わらず下手くそで、粗だらけだが、一応最後まで頑張った。
    最初に菱湖、次に一字彫り、大内9段にお許しを受けて怒涛流。だから、いつの間にかこれが生涯4作目だ。M君の好意に応えて、夏までには5作目に挑戦することになるだろうなあ・・・。下手くそなのに・・・。でも、下手の横好きでも、やり始めると集中できるから、それはそれで心地いいし・・・。

    駒の板木地や、練習用駒木地を前にして、あれこれ迷いながら、頭の中は、それでも貪欲にまだ別なことを考えている。
    週末の天皇賞である。
    春天皇賞3度目の挑戦となるゴールドシップ。2度あることは3度あるなのか、それとも3度目の正直なのか?とか、最も強いキズナは、2400mのミドルディスタンスなのではないのか?とか・・・。
    妄想ついでに、敢えてこの2頭を外してみようかなとか・・・。

    いやはや、今、私の頭の中は、妄想逞しくグチャグチャで、いろんな良からぬことに囚われているようだ・・・。
    それもまた良しか・・・。そうかも知れない・・・。



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    category: 日々流動

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    将棋連盟販売部 書籍コーナー 

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    将棋連盟販売部のT課長からメールがあり、本日100年書房のFが、「粋鏡なる試み~棋道を巡る職人魂」本の追加補充のため、将棋連盟を訪れた。

    その報告を夕方に受けたのだが、どうやら書棚だけではなく、高額な将棋駒が並ぶショーケースの中にも、ディスプレイしていただいているようだ。将棋駒を押しのけてである。

    いやはや、本当にありがたいことである。

    本が出来上がって1か月半。そこで取り上げた「龍祖八部作」の駒の中から、「龍玄の駒 水無瀬兼俊筆跡」吉岡出石作が、何と名人戦第2局の対局駒に採用される思いもよらぬ展開に、今は目を白黒させている。

    勢いや流れというのは、ときに意外な結末を呼ぶものだと、改めて知らされた気がする。

    作者が思いを込めて作り上げた作品が、今回のように正しく評価されたことは、すばらしいことだ。

    「粋鏡なる試み」本も、そんな勢いや流れに、ぜひともあやかりたいものである。

    追加納入の注文があったということは、おそらくその第1歩なのだろうか?もっともっと、多くの皆さんの手に渡るように努めて行く決意である。

    よろしくお願い申し上げます!!





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    第73期名人戦第2局~吉岡出石作「水無瀬兼俊」その③ 

    4月23日午後8時40分。
    73期名人戦は決着した。94手で後手番行方8段の勝ちとなった。これで1勝1敗のタイスコアとなった。
    挑戦者行方8段が勝てば、このシリーズは面白くなると、巷では噂されていたが、羽生名人に後手番で勝つのは難しいだろうという予想を覆して、行方8段が勝利を果たしたのである。

    勝負事には流れがある。流れを自らに引き戻した行方8段が、これからどう闘い、また羽生名人がどう勢いを取り戻していくか、興味が尽きないシリーズとなることが、この高山陣屋で決定的となった。33年振りの高山でのタイトル戦が、記念すべき闘いになったのは、将棋界最高峰の名人戦にとって世の耳目を集め、同時に将棋の栄えある隆盛にとっても幸運なことだろう。

    普段は、電気も水洗トイレもない江戸時代そのままの高山陣屋に、この名人戦の為に電気が引かれ、両対局者の為に遥々栃木よりエアコン付の最新式簡易トイレまで運ばれて設置された。関係者の陰の努力も報われたということだ。

    今回の対局駒や対局盤は、今後半年から1年間、この高山陣屋の対局室となった代官座敷で展示陳列される予定と聞いた。興味ある方は、四季を問わず来訪されることをお勧めしたい。

    今、高山は英語、仏語、独語にスペイン語に、タガログ語や中国語韓国語が飛び交うインターナショナルタウンになっている。ネット情報から火がついて、外国人観光客は、古びた木造建築の佇まいに大きな関心を抱いて集っている。その光景は、地方の活性化の原点を見るようである。それもまた楽しい。

    名人戦第2局の初日が終了する頃、すでに私たちは高山を離れ、所用あって愛知三河の豊橋に移動していた。豊橋の繁華街の居酒屋で「久保田の千寿」を嗜みながら、さて「相掛り」の名人戦の結果がどうなるかなどと話題にしていた。

    それにしても対局者の闘いは長い時間続く。それも一瞬のミスも許されない濃密な時間がである。自ら望んで選んだ棋士という職業とは言え、訓練のない普通人には気の遠くなるような仕事としか言えない。
    偉そうな大言壮語も、卑屈なへりくだりも通用しない実力最優先の世界である。闘い済んで、疲労の表情の中の彼らの澄んだ眼は、私には実に魅力的に感じる。そこに挑んだ者の気概が見て取れるからだ。

    今回駆けつけた対局場「高山陣屋」への旅は、私には、初めての新鮮な旅となった。
    おそらく吉岡出石作「水無瀬兼俊」赤柾の駒が対局駒に選ばれなかったら、この旅も実現しなかったろう。その意味では、これだけの駒を作り上げた駒師出石に感謝して止まない。
    またいつか、こんな機会に出会える喜びを持ちたいものである・・・。

                             吉岡出石作「水無瀬兼俊」DSCN1865.jpg







    category: 将棋駒

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    第73期名人戦第2局~吉岡出石作「水無瀬兼俊」その② 

    DSCN1885.jpg

    駒検分を終えると、次は午後6時半から高山グリーンホテル「天山の間」にて前夜祭となる。
    明日からは、この場所は大盤解説会の会場ともなる。

    33年振りとなる高山でのタイトル戦開催とあってか、地元の参加者は多く、会場全体が埋まるほどの盛況となった。

    対局者挨拶から、乾杯、そのまま立食での歓談となると、駆けつけた多くの参加者が二人の対局者や、集まった棋士たちに次々と記念写真を申し込んで並んで待っている。これも将棋普及のファンサービスだが、ほとんど立ちっ放しで笑顔を見せる両対局者の心中を思うと、つくづく大変だなと同情をも禁じ得ない。8時過ぎの退出時間まで、スターだからこその苦行なのだが・・・。

    最高級A5ランクの飛騨牛ステーキ、鮎の塩焼き・・・各種の酒類に、飛騨のリンゴジュースなどが盛り並べられていて、参加者の胃袋を満たしていくから、話の輪は尽きない。

    対局者が退出したのを機に、私たちも会場を後にした。
    明日は朝8時半前には、会場の高山陣屋へ行かねばならない。

    そして、満開の桜が咲き誇る名人戦第2局の朝を迎えた。

    刻々と対局開始時間が迫ってくる。すでに対局室の周りは、50人程の人の輪で埋まっている。来賓、関係スタッフ、立ち会いや解説の棋士たちである。皆が静かに沈黙していると、対局室辺りの空気がとても重いような印象となる。周囲の緊張と沈黙が、逃げ出したくなるような重さを生んでいるのだ。

                          DSCN1900_convert_20150424154937.jpg   

    8時51分に羽生名人、続いて52分に行方8段が対局室に現われ、着席するとすぐに駒箱が開けられて、今回の対局駒が盤上に並べられていく。
                     
    そして、再びしばしの沈黙。二人の対局者は、呼気を整えるかのように軽く目を閉じて動かない。背筋は真っ直ぐに伸びている。

    そこに立ち会いの森雞二9段の声が響いた。
    「時間になりました・・・」

    先手番羽生名人の初手は2六歩。カシャッカシャッと忙しげに鳴り渡るシャッター音。その音と共にフラッシュが雷のように光を放つ。
    しばらくして、受けて立つように行方9段が8四歩。再びカメラの雷鳴が訪れて、そのまま集っていた人の輪が対局室から消えて行く。

    そして、ようやく襖が閉ざされ、対局室に静寂が戻る。

    パシッと両対局者の手先から奏でられる駒音が、荘厳にしかし激しく響くだけの2日間が、こうして始まった・・・。


    ☆この項、さらに続く。






    category: 将棋駒

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    第73期名人戦第2局~吉岡出石作「水無瀬兼俊」 

    DSCN1879.jpg(高山陣屋)

    4月21日。飛騨高山陣屋(幕府天領の代官屋敷)である。手入れされて今も現存する唯一の陣屋だ。

    この陣屋の、かつて代官が居室用に使った座敷が、第73期名人戦の対局場となった。

    午後4時前、対局者羽生名人と行方九段の到着を待つ直前の対局場。   DSCN1866.jpg

    ギリギリのスケジュールで、TVクルーが照明やカメラをセットし、厳粛な対局場を仕立て上げて行く。駒検分が始まる前には、完成しなければならない。

    その頃、両対局者が高山陣屋に到着した。

    さすがにプロ集団の対局用会場設営仕込み作業である。4時頃にはすべての作業が終わり、4時半を過ぎた頃に、駒検分が始まった。

    青野専務理事が言った。「良いものは良いんですよ」

    杉本7段、室田女流、野月7段、金井5段たちは、一瞬息を詰めて、互いに顔を見合わせながら頷き合った。だからこそだろう。検分が終わった後にまた対局駒の周りに集って、しばらく眺めて離れなかった。

                       DSCN1882.jpg
    棋士たちの駒談義が起こるほどの凄味ある波紋が沸き起こったのである。

    実はこの日、急遽私も朝1番の列車に乗って、飛騨高山に駆けつけたのだった。

    ☆この項続く





      

    category: 将棋駒

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