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    Tsuruki Jun<鶴木遵>の原風景 《絶対零度》

    鶴木遵の本、新しい挑戦、趣味である競馬、将棋の駒、男の手料理、めだかやミジンコ飼育、犬猫のよもやま話、など四季折々に感じたことを発信していきます。

    優駿元編集長福田喜久男1周忌を飲み明かす会・8月27日 

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    もうあれから1年になる。

    8月は福田喜久男の1周忌。最後は独り身だったこともあり、私たち有志が揃って1周忌を飲み明かす会をやるしかないと決めて執り行ったのである。勿論無礼講で、楽しく騒ぐことが、生前の福田喜久男の意思でもあったから、そのことだけは(都合良く?)守り抜いた。

    場所は、いつもの中野の居酒屋「廣」の2階の貸切の特別室。

    この店は、かつての新橋「田吾作」の女将を母に持つ山口廣子が、今年1月に思い立って開店した。酒場を経営することの大変さを身近に知っていた彼女だったが、巡り巡って自分の店を開いたのである。

    開店以後、福田喜久男を知る男たちが集うのは、季節に1度のペースで今回が3回目。だがいつもにぎやかに楽しく(嗜みある紳士?が集って泥酔する顰蹙者がいないからだが、皆が酒に弱くなったのかも知れない)、もはや声が掛るのを待ち遠しく思うメンバーも増えた。今の時代、こんな会はなかなか開けないのが現実でもあるからだ。

    今回は、ほぼいつものメンバーに、作家古井由吉や矢野誠一や、生前の福田喜久男と親しかったMさん、二人のYさん、カメラマン石山勝敏の新規参加もあった。始まって1時間ぐらいすると、東中野で10月の芝居公演の稽古に入っている李麗仙も駆けつけてきた。結局、2階の特別室は満員御礼状態で、身動きも不自由になるほどの盛会となったのである。絵描き野口アキラは、また今回も献身的に皆に酒を振舞ってくれた。お疲れ様と感謝したい。

    夕刻6時から10時半まで、息切れすることもなく勢いを保ってゴールインした飲み会だった。きっと部屋の何処かで、そっとあちらの世界を抜け出してきた福田喜久男も、あの笑顔で参加していたことだろう。そう信じたい。

    で、私?中野で10時半だと、もう終電には間に合いません。これは予想がついていたので、今回はちゃんと定宿にしているホテルを予約しておきました。でもねぇ、そうして参加すると他の方たちの倍の会費になってしまうのが、何となく悔しいんですが・・。でも、もう次の会は11月と楽しみにしているんですから、まあ度し難い輩と呼んでやってくださいませ・・・。

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    謎の駒師 その③~彫完了 

    篁輝 2013・8月26日 


    謎の駒師の作業は、炎暑の夏をものともせず、順調に進捗している。

    今回は、駒字の勢いを失わせずに、しかし焦らず丁寧に進めることが、人知れず裏側にあるテーマでもあったから、進捗状況には、作り手として納得している。

    昨日。無事アクシデントもなく彫が完了した。

    私には期待に違わぬものとなっている。楽しみが増してきた。

    篁輝 2013・8  ②    篁輝 2013・8  ③



    これからは、字母紙をはがして、彫の状態を正確に確認して、次に目止めへと進み、止まったら漆の作業となっていく。

    目止めは、オイラックニスを使うか、あるいは滲みの危険を避けて木工ボンドを使うかということも考えねばならない。ボンドを使えば安心だが、駒木地の表面にボンド自体が染みて残ってしまうことも考えられる。が、最後は自分自身の決断をしてしまうかしかないだろう。

    その後に、サビ漆を使わずに漆を埋めていく作業が待っているが、そこまでくればさらにやる気も増してくるはずだ。人間というものは、ゴール地点が見えれば欲も出るものだ。ゴールを視界に捉えた長距離ランナーの最後の奮起を思えばいい。でもそれにしても漆が乾く時間だけは、漆次第なのだろうが・・。

    もう間もなくと、期待を高める私も、同じ長距離を一緒になって走っているように思えるのが不思議な感じだ。焦れるように待つだけなのだが、本音を言えば、作り手と同じような疲労感に見舞われているのかも知れない。それもまた良しだ。ジリジリとした気持ちが高まれば高まるほど、最後に作品を手にした瞬間の歓喜も高まるというものだから。

    たぶんあと2か月。ジリジリと完成を待つのみだ。


    今日、謎の駒師から2枚の写真が送られてきた。1枚は、私が初代竹風の昇龍書彫駒を入手したことを知って、自身が持つ一平作天童楷書彫駒の写真を参考までにと送ってくれたのである。

    一平 天童楷書

    シャープな切れ味で大胆に彫られた天童楷書。一平作の駒としては、漆に滲みがあるものの、彫りそのものは剛毅な印象で、上出来の駒だと思えてならなかった。メールには、自身の次回作は、ある駒師をイメージした天童楷書に挑むと記されていたが、この一平作を手元に置いて天童楷書の心が何たるかに思いを巡らせていれば、おそらく彫上がる駒も方向性に間違いはないだろう。そこに名工の技の風合いを、謎の駒師としてどう彫って行くかが試されるのだ。もし実現したら、それこそが謎の駒師自身の世界となって明確化する筈である。

    もう1枚の写真は、8月の上旬に駒師由進から具体的に受けた盛上げ指導の写真だった。謎の駒師の自分用の人生最初の習作である淇洲書彫埋め駒を、由進は、目の前でさっと盛上げて見せてくれたのだ。

    結果は?謎の駒師にとっては、まるでテキストのような盛上げ駒が生まれた。

    2013淇洲初作~由進指導盛上げ_convert_20130826153049右は謎の駒師が以前に人生最初に作った三玉の彫埋め駒である。(本人はその出来具合を正直恥じていて、公開出来るレヴェルにないと固辞したが、敢えて駒の勉強のためと無理を聞いてもらった)左は、そのうちの1枚を使った由進の指導盛上げ。三玉仕上げだったから、2枚の玉を並べられた。


    この1枚の写真には重要なことが込められている。

    それは、すでに駒師由進が、それなりの土台の枠があれば、まるで漆で書き駒をするように、いつでもスタンダードの駒字書体を描いて見せられる技量にあること。

    また、書(駒字)に通じていたら、盛上げ駒は、盛上げ師の技量で別世界のものとなってしまう可能性もあるということ。同時にそれは、盛上げの技には、明らかに序列があることを示している。

    そのとき謎の駒師は、拙い出来と判断していた過去に作った最初の習作が、目の前で鮮やかに変身した事実に、眩暈を覚えたほどだった。

    何事においてもそうだが、やはりプロとなる必要十分条件を満たすには、大きな関門が聳え立っている。

    でも、そこににじり寄って、何とか関門を開けたなら、そのときは夢中になって作品を作る喜びが待っているのだ。

    謎の駒師も今、大きな関門を乗り越える寸前にいる・・そう思う・・。




    category: 将棋駒

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    由進からの電話 

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    2・3日前、駒師由進から電話があった。真夏の旅の途中で(確か北海道の最後の夜だった)、連絡しなければならない要件があって電話して以来だったから、声を聞くのはおよそ2週間ぶりだった。

    愛媛から東京経由で北海道を縦断する3週間の長い旅だったから、八幡浜に帰ったら忙しいのだろうなと想像していたが、現実はその通りだったようだ。

    「いやぁ、お久し振りです」

    「何とか無事に帰りつきましたよ。でも帰ってからが大変で」

    「最近、ブログの更新がないので、何かあったのかと心配してたんです」

    「いえいえ、帰ったらいろいろと仕事が待っていて。いや駒作りではなく、ほとんどボランティアの仕事なんですがね・・今は、過疎化する町を何とかしようと、選挙のお手伝いにも駆り出されて・・」

    「駒どころじゃない状況ですか?」

    「いえ、ちゃんと駒作りはしてますよ。毎日、皆さんが御休みになっている深夜に。今は怒涛流を仕上げてますが、他にもたまってまして、ブログを更新する時間を惜しんで、駒を作ってます。来月からは祭りの準備も始まりますから、やれるうちに少しでも進めておかないと・・」

    「それにしても、まだムカついてますが、光泰さんの善意で差し上げた駒が速攻でオークションに出品されたり、他にもいろいろ考えさせられることもあったり、どうも世の中狂い始めているとしか思えません。ほっとけば本当に狂ってしまうから、やはりボランティアなどで地域の人に尽くすことも大事なんですよ」

    「でも、もっと時間が欲しいと思うときもありますがね」

    その後もしばらく会話を楽しんだが、駒師由進はいつも通り元気だった。秋になれば「江戸期安清書」などの新作も揃い踏みするだろうし、新しい書体の発表もあるかも知れないし、あるいはこれまで本名の吉岡由進作で通してきた作名も、近い将来には雅号を名乗ることになるのかも知れない。

    92歳の父と共に真夏の旅を終えた成果が、私たちの目に見える形で結実するのには、もう少し時間がかかるのだろうが、確実に前に向かっていることだけは信じていいだろう。

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    蓮の花が咲いた 

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    ふと気がつくと、去年生まれた和金とヒメダカのいる池(と言っても、これは大きな盥に水を溜めた簡易の池なのだが)で蓮の花が咲いていた。見事に咲き誇っている。白い花と赤い花があるようだが、この蓮は白いタイプだったようだ。

    確か4月の終わりに、つれあいの知人が市内のお寺から分けていただいたものを、金魚やメダカと物々交換して、鉢に多めの土を足してこの池に置いたのだ。まだ茎が3本ほどで小さかったのだが、それなりに環境が良かったのか、あるいは炎暑の夏の気候が幸いしたのか、順調に育って、花を咲かせたのである。

    蓮の花は、仏教では極楽に咲く花とされているようだが、国語辞典を開くと、極楽とは「安楽で心配のない身分や境遇」と記されている。とすれば、迷い惑いながらいまだ現世の荒波に揉まれて生きる私の元では、決して咲いてはいけない花なのに、どういう宿縁か花開いてしまったのだ。

    まあ、いずれごくごく小さな幸せを味わえるかも知れない予兆であると、良い方に解釈しておくほかないか・・。

    でもそれにしても、いささか優美で、しかし近づいてみればキリッと自己主張している花である。池に植えるときに感じたあの饐えたような泥臭い匂いからは、こんな花が咲くなんて想像がつかなかった。泥の澱みの中から伸びて、清楚に際立った花を開かせることこそが、あるいは極楽ということなのかも知れない。

    いずれレンコンはどうするって?食べられませんよ、この花を見た後では・・・。

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    「あまちゃん」に嵌まった私 

    JT

    ここのところ「あまちゃん」に嵌まっている。宮藤官九郎の脚本が、観る側の心の機微を捉えて面白い。上手いと言っても良い。

    6月半ばまでは、それほど真剣に見ていなかったから、もう一つ自分の中で消化吸収できなかった。だからこの夏、1話から25話までを、無料動画で見直してみた。

    するとどうだ。実に細かい配慮で、いたるところにドラマの伏線がさりげなく散りばめられているではないか。この作りなら、ゆいちゃん一家の崩壊も、いつでも夢をの橋幸男の登場も、あきちゃんの心の底にある体当たりで乗り越えなければいけなかったコンプレックスも、夏さんの強がりの裏にある寂しさや本当の優しさも、一切が自然と受け入れられるというものだ。一見漫画的な仕上げになってはいるが、その裏には、宮藤官九郎の緻密な計算が溢れていて、良質な連続ドラマとなっている。登場人物が、今ここにいることにも少しも無理はないのだ。

    だからこそだろう。登場する役者たちが自分のポジションで安心して演技に戯れていて、それがさらにドラマに彩りを添えている。良い脚本と、良い演技が相乗効果となって、さらにドラマを楽しくさせているのである。役者が面白ければ、もっと面白くしようと演出のテンションだって上がるに決まっている。それがまた脚本をよくする力となる。いい意味の相乗効果に現場は包まれていくのだ。

    朝7時半にBSで見終えると、すぐに次が見たくなってしまうのだから、私もクドカンマジックに嵌まってしまっているということなのだろう。1日に2度3度と見直してしまう日さえある。でもそれが心地いい。

    山田太一、市川森一、倉本聰、中島丈博ら、それぞれタッチは違っても、彼らは皆それぞれの時代を鋭敏に察知して、良質なドラマを創り、生み出してきた。映像は脚本で決まるとも言われているが、なかなかそんな才能には出会えないものなのだ。大河ドラマだって、出来の悪い脚本なら視聴率は上がらないのは、その歴史が証明しているではないか。

    「あまちゃん」の大成功は、逆に考えるなら、作り手にとっては実は怖ろしいことなのかも知れない。何となれば、知らず知らずのうちに視聴者のドラマを楽しむ眼線や感性を底上げしてしまったとも言えるからだ。

    そうであって欲しい。視聴者を舐めきったドラマや、役者や、芸人など、もう不必要なお荷物でしかないのだから・・・3文芝居など、嘘に嘘を塗り重ねる政治と東電の中だけでいい・・・。

    category: 異化する風景

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