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    Tsuruki Jun<鶴木遵>の原風景 《絶対零度》

    鶴木遵の本、新しい挑戦、趣味である競馬、将棋の駒、男の手料理、めだかやミジンコ飼育、犬猫のよもやま話、など四季折々に感じたことを発信していきます。

    騎手の手腕~’12秋天皇賞 

    埴輪馬

    金曜の夜、グリーンチャンネルで最終追い切りを見て、各馬の仕上がり状態をチェック。数頭の馬を択んで記憶の中に叩き込んだ。

    土曜は静かに過ごし、雨で自分の体調を崩すのを嫌い、府中には行かず、自宅で天皇賞のパドックを迎えた。

    最終追い切りから択んだ馬たちは、皆それなりの気配で、シメシメと私の頬が緩んだ。

    その中で最も気が引かれたのは、ミルコ・デムーロが初めて騎乗するエイシンフラッシュだった。調教の気配はそれなりにいいのに、昨年の有馬記念以来、海外遠征を挟んではいたが結果が出ていない。しかしすばらしい力を見せて2年前にダービーを勝ち抜いた馬である。にも拘らず、この日は人気薄の評価でしかなかった。

    昼過ぎまで降った雨が、良馬場発表ではあったが、スピードで押し切れる状態ではなく、多少は力を必要とする馬場となっていることは、私でも理解できた。そう考えると、単純な人気通りに終わるレースになるとは思えない。

    このとき、私にはミルコがどう騎乗するかは見えてはいなかった。しかし2週連続して追い切りに乗ったこの男が、何かを考えて仕掛けてくるだろうという直感だけはあった。

    もうひとつ考えたことがある。天皇賞のトライアル毎日王冠と、菊花賞のトライアルセントライト記念と、どちらがより厳しいレースだったか?ということだった。答えは言わずもがなである。3歳馬だけでなく古馬もが揃った毎日王冠に決まっている。このとき私は、毎日王冠の決着が3歳馬カレンブラックヒルとジャスタウェイだったことを一瞬忘れていた。

    だんだん締め切り時間が迫ってくる。

    どうしても応援したくなってしまうのが、エアグルーブの産駒ルーラーシップである。これは理屈ではなく、大成して欲しいという願いがこもっているからしょうがない。

    ウォーミングアップの映像が流れ終わったとき、私は決めた。

    カレンブラックヒル、エイシンフラッシュ、ルーラーシップの馬連3点ボックスで天皇賞を勝負しようと。フェノーメノは、今日の様子を見てJCか有馬記念で狙おうと。絞って買うのが私の流儀だ。どれもこれもと点数を買うのは美意識に反するし、長くは続かない。(ここで私の勝負運は尽きていた)

    ゲートが開いた。
    各馬一斉のスタート。外枠から秋山真一郎カレンブラックヒルが飛び出していく。好位置を確保しようと、力強く。

    「あれ!?速いんじゃないか?」思わず呟く。

    果敢に逃げる小牧太シルポートの2番手に落ち着くまでの300m。ここが天皇賞の勝負を決めたポイントだった。

    外枠だったことを意識してか、秋山真一郎カレンブラックヒルは、多少の無理を覚悟して前に向かった。

    ミルコ・デムーロエイシンフラッシュは、まるで忍者か魔術師のように後方のインを確保した。

    5F(1000m)通過が、逃げるシルポートの57秒3。2番手のカレンブラックヒルは59秒ぐらいだったろう。

    第4コーナーを廻って長い府中のホームストレッチ。

    残り400mの地点でミルコ・デムーロは勝利を視界に入れていた。そのままインを力強く攻め上げていく。1完歩ごとに他馬を抜き去りゴールに迫っていく。

    何とかカレンブラックヒルも先頭に立ったが、そこまでだった。スタート直後の300mの影響か、そこからグィッと伸びきるパワーが、哀しいかなもはや残ってはいなかった。騎手秋山真一郎のスタート直後の対応に誤算があったとしか言えない。

    そこにフェノーメノとルーラーシップが迫ったが、もう勝負は決着していた。

    勝者は、騎乗の魔術を見せつけたミルコ・デムーロエイシンフラッシュだった。

    勝者はゆっくりと引き上げてきた。

    そして、この日7年振りに東京競馬場に来られた天皇・皇后両陛下の前で、ミルコ・デムーロは馬を降り、膝をついてナイトの挨拶をした。両陛下は笑顔と拍手でその功績を称えられた。

    画面を見た私は、ふと、お二人が馬券を買われていたら、果たしてどんな馬券を買われたのだろうかと思った・・・。

    その夜。ショットグラスでウィスキーを5杯、あおって飲み込んで、無理やり寝付こうとした。限りなく勝利に近づいて、最後に勝利の女神に見放された悔しさと、ああこれでまた、最初からスタートのやり直しだというシベリア兵のような疲労感・・・。酒の力がなければ寝付けなかったのである。
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    category: 競馬

    thread: 演劇的競馬論  -  janre: 学問・文化・芸術

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    「駒師由進」本~見本到着 

    今日の午後から、少しばかりカルチャーショックに見舞われている。

    遂にというか、ようやくというか、「駒師吉岡由進~将棋駒を創る喜び」本の見本が届いたのだ。

    革新的なデザイン(大きさが?)である。ただ正直言って、まだ目が慣れていない。見知らぬ風景の場所にストーンとワープした戸惑いがある。多分、明日の朝には慣れてしまうだろうが・・・。


    ページをめくると、背の糊付けはしっかりしているので、大胆に開いても大丈夫だ。持ち運びも便利。老眼が進んだお方には小憎らしいかも知れないが、慣れてしまえば、逆に小振りなだけに愛着が湧くのかも知れない。

    一言で言えば、まるで将棋駒のような本が出来上がった。そう考えると楽しくなってくる。

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    若々しい本なのだと言っておこうか。

    今日、明日の内に、由進と、すでに1ヶ月も前から私のブログへのメールで注文依頼されている山梨のMさんに送るつもりだが、果たしてどんな感想を抱かれるか、ちょっと心配ではある。でも3日もあれば、眼も慣れて、中身の濃さに納得してもらえるだろうと、楽観しているのだが・・・。

    いや、私自身が戸惑っていてはいけない。私は、アバンギャルドであり、進取の精神に満ち溢れているのだ。そうだ、そうなのだ。ともかくも前に進むしかない。

    だから、こう断言しよう。いい本です。可愛がってやってくださいと。

    category:

    thread: 極私的将棋駒の快楽  -  janre: 学問・文化・芸術

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    常滑焼~若き初代雪堂作品集vol.4  

    ときに若き初代雪堂は、当時としてはアバンギャルドな作品にも挑みました。朱泥の伝統に、前衛のフォルムを注ぎ込もうとしたようです。しかし・・まだ時代が追いついてはいなかったのです。

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    こうして朱泥の常滑焼を並べていると、子供の頃の風景が思い起こされます。
    いつもずっと側に並べられてあったからでしょう。

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    薄くシンプルな湯のみです。確かな腕が見て取れます。

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    ちょっと目を引く形です。

    次回は、伝統的な水簸造りの朱泥がほぼ枯渇した現在では、もう2度とできない作品をご紹介します。
    朱泥で造られた火鉢です。干支が彫られています。ご期待を。(まだまだ続きます)  

    category: 常滑焼 朱泥

    thread: 異化する風景  -  janre: 学問・文化・芸術

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    本~ご連絡 

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    駒師由進を描く「将棋駒を創る喜び」本は、先週末無事に入稿されました。今週26日ごろには、刷り見本が手に入る予定で進行しています。

    私自身もどんなものが出来上がるか、正直言ってまだ見当がつきません。デザイナーのセンスに期待して、とにかく待っているしかありません。

    ただ、由進の駒は、夏以降に次々と新作が生まれています。今回の駒写真では、そのスピードに追いついていないかも知れません。それが若干の心配ですが、やがて修正してもいいと考えています。既成の出版に対するゲリラ戦ですから。

    また、

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    関係者皆様から、好評をいただきました「追悼本」並びに「福田喜久男伝」の2冊は、お蔭様で残り5部ほどになっています。非売品のお宝本です。興味のある方は、コメントの秘密メールでご連絡下さい。

    この場をお借りして、宣伝させていただきました。ご寛容下さい。

    <お知らせ>
    「追悼本」「福田喜久男伝」は、皆さんのご協力もあり、すでに完売しております。ありがとうございました。
    なお福田喜久男著「優駿4代目編集長の競馬放談記~遠くて近きは人馬の中」(定価1400円ベストブック刊)は、一般書店、アマゾン等で入手可能ですので、興味のある方はよろしくお願いします。

    category: 本~注文受付コーナー

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    堂々と~勝つべくして勝った菊花賞 

    120429K09KI005.jpg(写真:石山勝敏・ゴールドシップ2012)

    結局、道中のペースは、多少の緩急の差があったが、1000mを61秒で走りぬくことを3回繰り返した3000mの菊花賞となった。

    残り1000m辺りの2周目の3コーナー手前から、グッと加速を始めた内田博幸ゴールドシップにとって、そんな流れは、絶好のものだったろう。それ故にこそ、後方2番手からいっきに上位へと進出する脚勢は、力強く堂々としたものとなった。

    このとき内田博幸は、自ら勝者としてゴールを駆け抜けるために、一切の迷いも不安もなかったはずだ。

    ダービーの敗戦で把握した騎乗馬ゴールドシップの本質。トライアル神戸新聞杯で改めて確かめたハイポテンシャルな持久力。それを思えば、自信だけが人馬のオーラとして放たれていた。

    だからこそだろう。後方2番手に位置した人馬を、他馬は大きく意識してマークしていたが、それでも加速を始めた内田博幸ゴールドシップに、追いすがるどころかついていくことさえままならなかった。

    2着を確保したメンディザバルの3コーナー辺りの馬群の捌きは、追走に慌てたようにラフだったし、4着になったものの一瞬あわやと思わせた四位洋文の1発を狙ったギャンブル騎乗も、成果を呼び込むには馬の力がゴールドシップに及ばなかった。3着の秋山真一郎の騎乗は、勝利よりも2着狙いであったような印象で、何とか最終最後に3着を確保した。

    つまりこの73回菊花賞は、どう眺めようとも、内田博幸ゴールドシップがいかに横綱相撲で勝ちきるか、競馬にも絶対があることを多くのファンに伝えるかが問われていただけだった。

    そしてその声に、内田博幸ゴールドシップは応えきったのだ。

    ゴールインした瞬間、私は、かつての岡部幸雄ビワハヤヒデの姿を何故か思い起こしていた。次の瞬間にはメジロマックィーンの姿が浮かび上がった。血統は違えど、そのとき時代を象徴した同じ葦毛の最強馬たちに通ずる何かを、もはやゴールドシップは醸し出し始めている。

    それにしても種牡馬ステイゴールドはたいしたものだ。昨年の3冠馬でありいまや世界のオルフェーブルに続き、2冠馬ゴールドシップを送り出した。栗毛と葦毛と毛色は違うが、共に母の父メジロマックィーンであるのが面白い。

    ひょっとして有馬記念で両馬の対決が実現するのだろうか?或いは早ければJCなのか?いずれにせよ、これは見逃せない闘いになることだけは間違いない。

    雑草の逞しさを持つステイゴールドが、エリート中のエリートたるディープインパクトの牙城に迫る種牡馬の闘いの構図は、売り上げが低迷してファン離れが続く日本の競馬に、新しい息吹をもたらす原動力になるのかも知れない。そう思えてならない。

    今週末は、天皇賞か。ドラマの余韻を溜める時間もない。心に溜め置く余裕も与えないスケジュールは、さあ天皇賞だ!!と、心を高める気持ちをも起こさせない。ただダラダラと垂れ流しのションベンのようだ。

    せっかく秋華賞、菊花賞と良いドラマが続いたのだから、ここで一間空ける演出があれば、もっとすばらしい興業となるはずなのに、開催施行者はいまだにG1連続を謳いあげている。どうしようもなく鈍い感性だ・・・。

    しかし、目標を持ってしまった私自身の闘いは、続けなければならない。心を休め、感性を高め、気を発して踏ん張るぞ!!

    category: 競馬

    thread: 演劇的競馬論  -  janre: 学問・文化・芸術

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