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    Tsuruki Jun<鶴木遵>の原風景 《絶対零度》

    鶴木遵の本、新しい挑戦、趣味である競馬、将棋の駒、男の手料理、めだかやミジンコ飼育、犬猫のよもやま話、など四季折々に感じたことを発信していきます。

    2017秋華賞~京都・内回り芝2000m  

                         由進作 左馬・幸運駒②

    先週の京都大賞典を横山典サウンズオブアースを軸にして、いわゆる縦て目の抜けで取り損ねたために、意気消沈して過ごした1週間だったのだが、思わぬ結末が待っていて、土曜の午後には予期せぬ微笑みに包まれてしまった。

    まあ、こういうことがたまにはなかったら、楽しみのない人生になってしまう。そう思うと、頬の筋肉はさらに緩んでしまった。

    と言うのは、こんな流れだった。
    縦目で逃した京都大賞典の落胆と反省は、私にはダメージが大きく、一瞬頭をボーッとさせてしまっていたようだ。ボーッとした中で、エエイとばかりに、まだ消してなかったAパットのキー操作をして、京都大賞典の後に行われた岩手・盛岡の南部杯(交流G1ダート1600m)を、ほんの少しだけ馬連で買ってしまったのである。先行するだろう吉原ノボバカラから、連覇を目指す田辺コパノリッキー、中野省キングズガイ、川田ゴールドドリームへの馬連3点だった。

    その後GCはつけっ放しにして、レースの生中継も見たが、ゴールインした瞬間、圧勝したコパノリッキーに目を奪われて、何と2着にはキングスガイが届いたのだと錯覚して、そのままTVを消してしまったのである。京都のショックが尾を引いて、やはり頭はボーッとしたままだった。

    それから1週間、反省の日々で何とか過ごしていた。土曜の午後に明日の秋華賞の軍資金は少しはあったのだろうかと、念のためネットバンクを調べてみると、何と思いがけず予想外に増えていた。取引明細を見てみると、どうやらJRAから振り込みがあったらしい。JRAの購入記録を見ても、毎日王冠は的中だったが、その配当は京都大賞典で失くしていた。だからJRAから振り込まれる筈はなかった。

    そこで思い当たった。そう言えば南部杯を買っていた。そこでAパットの地方競馬から南部杯の購入記録を調べてみると、ノボバカラとコパノリッキーの馬連を確かに買っていたのだ。しかもノボバカラが人気の盲点となって、馬連は万馬券の結果だったのである。その配当が、JRAから振り込まれていたのだった。

    ヒャーッ・・・。私は、この1週間を忍耐と反省の日々で耐えていた。ああ、それなのに、それなのに・・・。と、なれば、1週間の反省と忍耐は、そもそも無駄なことだったのか?いや、それを言ったらお終いかも・・・。

    とにもかくにも、結果を知らずにいた私自身が愚かであったのは間違いではないが、たとえそうであっても、私は明日の秋華賞の軍資金を手にしていたのは現実で、いっきに気分がハイになってきたのだった。


    いつものようにGCの最終追い切りは確認していた。
    私にとって気配が良く見えたのは、菊沢調教師が跨ってピーンと張りつめたような雰囲気だったアエロリット、その名の通りまさにウサギの駆け足のように弾んでいたラビットラン、それに休養2戦目の効果が見込まれるモズカッチャンと粘りの逃げが期待できるカワキタエンカ。調教で舌越ししていたファンディーナや、格下相手の紫苑Sのディアドラや、G1の善戦レディ・リスグラシューには、今回は食指が動かなかった。

    ただ金曜からしとしとと降り続く雨が明日まで続くという予報に、馬場がどうなるかも判らず、まして3歳牝馬の重馬場適性も結果は出ておらず、とにかくパドックと返し馬を見て決めることにした。

    返し馬を見ても、本当のところ、私の心は定まらなかった。昨日思わぬ振り込みでほくそ笑んだことが、気の弛みを生んでしまっていたのかも知れない。

    で、ギリギリ迷って、京都内回りの2000mはそもそも直線の短いトリッキーなコースで、まぎれも多いし、それならば私自身の定石を変えずに、これまで通りの方法で行こうと決めた。気まぐれで自分のセオリーを変えると、たいていの場合はその後の流れが悪い方向に向かうことは、経験則として理解していたからである。それに、たとえ負けても私には降って湧いたような資金だから、被害者意識も生まれない感じでもあったし・・・。

    逃げたカワキタエンカの作ったペースは、前半5F59秒1.馬場を考えると相当なハイペースだった。だからだろう。後半3Fの上りは37秒かかって、中断辺りからの2頭で決着した。

    結論から言えば、アエロリットもラビットランも力の要る馬場に脚を取られていた印象だ。この両馬には良馬場で走らせたかった。モズカッチャンは1・2コーナー辺りで不運にも落鉄していたという。ハイペースで逃げたカワキタエンカは、最後まで力を振り絞って5着に粘った。

    勝ったルメール・ディアドラは+12Kgの馬体重で私には丸っこく映ったが、それでも差し切ったのは種牡馬ハービンジャーの重適性を示した底力としか言えない。レースに絡んでまたも2着の善戦を果たしたリスグラシューは、馬も仕上がっていたが何と言っても武豊の手綱の冴えだったろう。

    雨の馬場の影響下でさすがにこのハイペースも読めず、思った通り、私には何となく難しい秋華賞だった。最終追い切りの印象で決めたままに従って的中は逃したが、それほど熱くもならずに冷静だったのは、南部杯の万馬券のおかげだろう。

    今週末には、強い馬が勝つと言われてきた菊花賞が行われる。まだ南部杯の配当は残っている。だからこそ楽しみなのだが、今この瞬間も降り続いている秋の雨が、菊花賞でも再び大きな影響を与えることがないことだけを祈っているが、それは天のみぞ知るところでもある。

    取り敢えず次の日曜は、選挙に行って国民の義務を果たしてから、すっきりとした気分で菊花賞を見守ろうと思っている。








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    category: 競馬

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    毎日王冠と京都大賞典~10月8・9日 

    埴輪馬

    これから本格的に始まるG1戦を前にして、やはり古馬戦線の重要なトライアルとなるのは、毎日王冠(東京・芝1800m)と京都大賞典(京都・芝2400m)だ。そしてこのレースを見終えると、秋G1の活況が始まっていく。

    今年は、7日からの3日連続開催で、8日に毎日王冠、9日に京都大賞典が組まれた。世の中連休中で、頭の体操の退屈しのぎにもなったが、意外だったのは昼間の気温で、出走馬の多くは汗をタラタラと流していた。10月初旬の30度近い温度もきついものだ。すでに扇風機はしまっていたので、夕方まではエアコンをつけっ放しにするほどだった。

    ここ数日で、今の日本社会の中枢には、信義も節度も闘う高貴さすらも決定的に欠如していることがはっきりして、それも大方の世論の反映した世相と情けなくなってしまっている身には、せめて一筋の気概を示した立憲民主には健闘して欲しいと願うばかりだ。
    リベラルという言葉は、今世間で使われているような「左派のイデオロギー言語」では決してなく、本来、人間や人権・自由を尊重する精神を指すのだが、敢えて意図的な政治言語として壟断されてしまっている。実はジャーナリズムが最も尊ぶべき言葉こそ、不偏不党のリベラル精神であると、私は理解している。リベラルの同義語はサヨクでもマルキシズムでもない。対極にあるのは、国家主義、国権主義である。国の生存がなければ個人の生存もないと高々という輩がいるが、私に言わせれば、個人の生存なくしてそもそも国家機構など存在しえないのである・・・。

    とか何とか、義憤を覚えながら、そのストレスも一瞬忘れて、8日の午後、まずは毎日王冠を迎えた。
    GCの最終追い切りを見て、私の選んだのは、リアルスティール、グレーターロンドン、そして大穴なら力は足りないかも知れないが気配の良さが目立っていたウィンブライト。取り合えずその馬たちにオークス馬ソウルスターリングから流してみようか。

    パドックを見終えて、どうも私の心はソワソワと落ち着かなかった。妙な騒めきが収まらなかったのである。すでにパソコンから決めていた馬券は購入してしまっていたが、それでも落ち着かなかった。

    外国人ジョッキーから川田将雅の手綱に戻らなかったマカヒキは、もし好走するとしても次だろうと思っていた。その川田は仏凱旋門賞に乗せた陣営のサトノアラジンに騎乗する。
    そのときふと閃いた。もし3歳牝馬ソウルスターリングが、古馬のプレッシャーをまともに受けて沈んだとしたら・・?それもあり得ることだ。
    ソウルスターリングが沈んだら、そこで浮上するのは、G1実績のある古馬の精鋭か、G1での好走歴のある上昇馬だろう。そう考えて、急いでまた出馬表を眺めた。私の眼に、デムーロ・リアルスティール、田辺グレーターロンドンと川田サトノアラジンが浮かび上がった。
    最終最後に、この馬連3点を追加すると、私の心の騒めきも少し晴れてくるようだったのが不思議だった。

    ゲートが開いて、前半のポジション取りの攻防があった。結局先頭に立って逃げたのは、ルメール・ソウルスターリング。しかし前半の5Fは60秒の落ち着いたスローペースだった。

    おそらくソウルスターリングが負けたのは、直線インのポジションで、外からまともに他馬からのプレッシャーを受けたからだろう。特に、2番手からの北村宏ダイワキャグニーの好走が、おおいに影響したとも言える。やはりソウルスターリングは、インに包まれるよりも外から馬群を抜け出した方がいいタイプなのではないだろうか。

    差してきた上位3頭のゴール前の攻防には、見応えがあった。古豪リアルスティールも、良馬場のサトノアラジンも、まだ伸びる可能性を秘めたグレーターロンドンも、その個性は充分に発揮されたと言える。

    レース結果が発表されてみると、最終便に間に合うかのように購入した馬連3点が、実は上位3頭そのままで、何とかまだ私自身に悪運が尽きていないことを確かめることにもなったが、本音を言うととても疲れた競馬観戦だったのは間違いない。午後の3時間ほど、私の頭はこの毎日王冠のために結局はフル活動をしていたのだから。まあ、競馬修業は競馬苦行の道だからしょうがない・・・。


    しかし、この疲労感は競馬開催3日めとなる9日の京都大賞典に悲劇的に影響したのだった。
    GCの最終追い切りの気配から、私はスマートレイアー、ミッキーロケット、トーセンバジルと大穴にマキシムドパリを選んでいた。軸にするのは、横山典が騎乗する史上最強の2勝馬サウンズオブアースとはっきりと決めていた。シュヴァルグランには、坂路の気配がまだ自ら走り抜こうとしているようには個人的な印象では持ち得なかったので外すことに決めた。勿論、来られたら実績馬なので諦める覚悟はできていた。

    平均より速いペースで流れて、2400m最後の直線を34秒の脚で上がってくる馬が勝つだろう。それは、横山典サウンズオブアースで、追いすがるのは、武豊スマートレイアー、和田竜ミッキーロケット、岩田トーセンバジルで、もしマーメイドSのように藤岡佑マキシムドパリが4コーナー先頭のような形で粘っていたら大穴だ!

    パドックを見終えても、今日の私は頭がボケッとしていて、粘りもなく、イージーにレースを決めてかかってしまっていた。すでに疑うエネルギーを節約してしまっていたのだ。(はっきり言って、アホでした)

    先行を期待したマキシムドパリは直線半ばで早々と消えて、3着シュヴァルグランも、着外に敗れたサウンズオブアースも、4コーナー手前地点辺りからの手応えそのものが、最高潮の姿ではなかった。

    その間隙を縫って、伸び切ったのは武豊スマートレイアー。直線のイン攻撃を賭けた岩田トーセンバジルが2着。和田竜ミッキーロケットは4着だった。

    レースが決着した瞬間、私は、
    「アッ、やられた!!何と・・・」
    と、画面に向かって叫んでいた。叫びながら、ヘナヘナと脱力していた。同時に、今の自分自身の競馬という勝負に挑む体力の無さを呪うかのように痛感させられていた。

    最終追い切りを見て選んだ馬たちの好走には胸を張れたが、労力節約とばかりに結果を決めてかかてしまっていた愚かさを恥じてもいた。つい昨日の毎日王冠の体験は何だったのか?・・・。そうだ。バカは死んでもバカなのだろう。アハハ・・・。寂しげな眼元に笑っていない笑いが浮かんだ・・・。

    それにしてもだ。同じ日に、東京で行われたGC(グリーンチャンネル)カップ。ダート1400m。大きく出遅れた内田サンライズノヴァが、いっきにまくり上げて勝ったのだが、こんな強引な競馬で古馬たちを問題にしなかった。まだ3歳馬なのだ。とすれば、アクシデントなく来年のフェブラリーSを迎えたなら、信頼できる本命馬となるだろう。憶えておくべき馬である。

    結局は疲労困憊で過ごした3日間。毎日王冠のプラスは、少しおまけをつけて京都大賞典でJRA貯金をして、さらに疲労を増した。
    おい、ひょっとしたら信義も節度も、闘う気力もないのは、自分自身じゃないか?と、胸に迫る言葉が私を責め立てもした。

    この夜は、スプリンターズSで手にしたウィスキーを最後の1滴まで飲み干して、早めにベッドに入ったのだった・・・。







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    2017 スプリンターズS(中山芝1200m)と仏・凱旋門賞 

    埴輪馬

    世の中がどう動こうと、大災害などで施設が壊れたり、馬の輸送経路となる道路が運行不能とならない限り、決められたスケジュール通りに競馬は開催される。平和の恩恵だ。

    10月1日。昼は、中山・芝1200mの短距離G1・スプリンターズS。夜は、仏・シャンティ競馬場芝2400mの世界のG1・凱旋門賞。来年からは新装のロンシャンに戻るが、去年に続き今年まではシャンティの開催だ。

    真夏のローカル開催の間は、自分自身の勝負感だけを鈍らせないように配慮して、真夏なのにそれほど熱くもならずゆったりと構えていたが、久々の中央場所でのG1戦となればそれなりに昂ぶる心も生まれてくる。

    木曜の夜に、GCの「今週の調教」を録画して、日曜までに数度見返しもした。
    馬の走ろうとする気配を、今まで通り自分の感性で見極めようとした。感情移入して誤るときもあるが、冷静に気配を見られたときは、選んだ馬たちがそれなりに上位に好走することが多いのは、経験上判っている。勿論、人気や贔屓に眼光が惑わされないという条件付きだが・・・。

    今回、最終的に日曜の午後のパドックを確認して選んだのは、軸はデムーロ・レッドファルクス。相手は、調教もパドックの気配も輝っていた石橋脩・ワンスインナムーンを1番手に、岩田・レッツゴードンキに、後は趣味で笹田厩舎(そう言えば、笹田さんパドックで馬の傍に来るときはサングラスの着用は避けましょうね。この前ちょっと気になりましたから)浜中・ダンスディレクターに、武豊・ダイアナヘイロー。栗東に行って最終追い切りに横山典弘が乗ったシュウジにも、春・高松宮記念の覇者幸・セイウンコウテイにも食指は動かなかった。

    いやはや、スプリンターズSのゴール前は燃えた。
    ワンスインナムーンが先頭で粘りを見せ、そこにレッツゴードンキが中団インから追い上げて迫り、さらにひと呼吸遅れて外からレッドファルクスが弾ける差し脚で豪快に迫ってきたのだ。

    通常なら、レッツゴードンキとワンスインナムーンで決まっていたのかも知れない。しかしレッドファルクスのゴール前の坂を上り切った後のわずか1Fに満たない距離での差し脚は驚異的だった。ゴールでは、全ての馬たちを交わし切っていた。凄い・・・。9歳の古豪大野・スノードラゴンもG1馬の気概を示して何と4着を確保した。このことも、ある意味凄味を覚えた。凄い・・・と。

    レッドファルクスは、スプリンターズSの2連覇を達成。過去には、サクラバクシンオーとロードカナロアだけしか成し遂げていない記録である。やがての種牡馬としての輝ける未来までももぎ取ってしまったのかも知れない。

    それにしても、スプリンターズSの前の10R1000万条件ハンデ戦の勝浦特別。前半3Fが33秒1で流れ、内田・クラウンアイリスの勝ちタイムは1分7秒8。後半の上り3Fは34秒4だった。

    スプリンターズSは、前半3F33秒9。勝ちタイムは、1分7秒6。後半の上り3Fは33秒7。

    ほとんど数字が変わらないが、しかしそこにレース自体の威圧感などが含まれているから、レースは魔性の生き物なのだろう。私には、10R とG1スプリンターズSの決着タイムがほぼ同じだとは思えなかった。ゴール前の激戦の迫力はまるで別世界のものだったのである。


    夜、10時からのGCの生放送「凱旋門賞」。10時半過ぎから視聴した。
    デットーリ・エネイブルの強さは圧倒的だった。直線早めに抜け出して。並み居る牡馬たちを一瞬たりとも寄せ付けず、まさに正当な横綱相撲での圧勝劇を世界に見せつけたのである。それは、かつてのダンシングブレーヴやラムタラの衝撃に並び得るものだった。

    3歳英国牝馬のG1・5連勝での凱旋門賞初勝利、鞍上のL・デットーリも歴代単独1位となる凱旋門賞5勝を達成。ぜひ来年は、新装なったロンシャンでの凱旋門賞の後にJCに来て欲しいと願わざるを得なかった。JRAはエネイブルに特別ボーナスを用意してでも招待して欲しいものである。

    翌日、私は町に降りて1本のウィスキーを買った。スプリンターズSの的中と凱旋門賞の圧勝劇が、思わずそうさせたのである。
    それをショットグラスに注いで、ゆっくりと舌と喉で味わった。

    その時間は、一瞬現実を遊離できる幸福な時間となった。ワンスインナムーンが2着に粘り切ってくれたら・・・などと未練たらしく思うことはなく、ただただ馬たちの素晴らしい劇の余韻に浸っていた・・・。






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    2017 宝塚記念・阪神2200m~王者失権 G1歴戦勝利の疲れなのか・・? 

    DSCN2459.jpg(絵:ノグチアキラ)

    想い出せばダービーの宴の夜、大阪杯と春天皇賞を力強く連覇していたキタサンブラックが、来たる宝塚記念をも制して春G1戦3連覇を決め打ち、1着賞金1億5千万と特別ボーナス2億円を獲得するか否かが話題になった。

    多くの意見は、達成支持が多かったが、私は「強い馬だからこそ落とし穴が待ち受けているのではないか?負けるとしたら宝塚記念ではないですか」と、少数派に徹していた。
    ここ四半世紀の日本の競走馬の質はめまぐるしく高まっている。世界の果ての競走馬は、今や世界の中心とも言い得るように進化しているのだ。かつてテイエムオペラオーが秋G1戦3連覇で2億円の特別ボーナスを獲得したときからは、もう15年以上の時が過ぎている。その間にも、日本の競走馬は進化を続けてきたのである。

    つまり何が言いたいのかと言えば、いかに強い人気馬であろうと、G1戦を勝ち抜くには相手が進化しているだけに、その昔とは違って何らかの肉体的同時に精神的な無理を重ねている状況にあるのではないかということだ。それはあるいは、ある日突然現れるような飛行機の金属疲労のようなものであるのかも知れない。

    1週前追い切り、そして最終追い切りからパドックでも、今回のキタサンブラックは、どう贔屓目に見ても、もちろん完成した馬体は素晴らしいのだが、キビキビとした弾けるような覇気が私には感じられなかったのだ。

    普段、厩舎で一緒にいるわけでもないから、それは素人の私の主観でしかないのだが、それなりに見切る眼力はこれまでの競馬経験で鍛えられてきたつもりである。(自己満足ですが・・)

    追い切りを見て、私がピックアップしたのは、ゴールドアクター、ミッキークイーン、シャケトラの3頭だった。デムーロの騎乗するサトノクラウンは大いに気にはなったが、これまで阪神芝での走りがいまいち印象に残らない結果だったこともあって、それなりの調教気配だったが敢えて4番手扱いにした。

    それよりも横山典弘が2200mのゴール前に坂のある阪神コース(実績のある中山と同様である)でどんな騎乗をしてくれるかという興味が沸き起こったし、前走で少しも走っていないミッキークイーンを今回浜中俊がどう乗りこなすのかということにも関心があったし、4歳のシャケトラをルメールがどのように走らせるかということにもそれを見てみたいという気になっていたのである。

    軸は横山典弘ゴールドアクターの結論は曲げなかったが、レースまで迷いに迷ったのは、念のため(何が念のためなのかは意味不明だが・・)、ゴールドアクターからミッキークイン、シャケトラの馬連3点ボックスにするか、デムーロ騎乗のサトノクラウンを含めた3点流しにするかという命題に、答えが閃かなかったかのである。

    6月25日午後1時25分に、私はGCを見始めた。阪神第7Rに宝塚記念と同じ距離の芝の500万条件戦が組まれていたからだった。武豊騎乗の3代目ヒシマサルが前半5F59秒7の流れを2分13秒で差し切ったのを確認して、おそらく本番は2分11秒の決着だろうと予測した。週の後半からの雨が、ドッと降ることはなかったにせよ力のいる馬場状態に影響していたようである。

    スタートして、4コーナーまで、私には3つの何故という疑問を抱かざるを得なかった。横山典弘ゴールドアクターは今回はスタートを決めていたから安心して見守っていた。となると、武豊キタサンブラックに関わる謎が2点と、残りはデムーロに敢えて聞いてみたい答えである。

    まずはキタサンブラック。何故、武豊はこれまでのG1とは違う外からの横綱相撲のようなレースをしてしまったのか?キタサンブラックはインを確保してレース全体を支配することで成長を続けて来たのに、何故好位の外にポジションを取ったまま無策だったのか?500万条件戦の流れよりも遅かった前半5F60秒6の流れなら、いつでも他馬を抜き去る態勢で好位のインにつける姿勢を見せなければならなかったのではないのか?キタサンブラックを応援して見守った多くのファンが見たいと願った展開をあえて選べなかった騎乗の意図はどこにあったのか?昨年の宝塚記念で34秒7のペースで先頭に立ってレースを引っ張り3着に敗れたトラウマがあったとでも言うのだろうか?この謎は不明である。

    デムーロに聞きたいのは、向正面から3コーナー手前地点まで、ゴールドアクターを外から封じるかのようにプレッシャーをかけ続けたのは、意図的な戦略だったのか否か?もし今日の相手はゴールドアクターと狙い澄まして実行していたなら、その騎手の本能的な勝負感は大いに称えなければいけないだろう。

    それにしてもである。4コーナーを廻ってすぐさま勢いをつけてインから馬群を抜けてきた横山典弘の騎乗には、これがゴールドアクターだ!とアピールする大胆不敵さが漲っていた。若い頃から、少し遅れてデビューした武豊が煌びやかなリーディングトップの道を驀進していた頃も、横山典弘は「オレは天才だ!」という不敵な自信と勝負度胸を守り続けてきた。それが今、彼自身の言葉の通りに実現しているのである。しかし、それでもこの日は3/4馬身差の2着だった。

    えッ⁉ 私?いえね、最終最後に念のためと3点ボックスを選択してしまいました、ハイ・・・。言葉もありません。
    もし、サトノクラウンが血統的にサンデーサイレンスの血が入っていない馬で、実は生産界の期待を大きくその肩に背負っている存在だと今さらながら気づいていたら、正解に繋がるまた別の選択をしていた筈だったのに・・・。不勉強でした・・・。

    それでも、「止められない、止まらない」「そのうち何とかなるだろう」の心意気だけは、「上を向いたらきりがない。下を向いたら後がない」という現実の中でも、決して忘れないで精進したいと決めています。

    でもねぇ、この日も気分作りと気楽に参加した7Rと9Rを仕留めたものの、メインの宝塚記念で弾かれて、結局は観戦料程度のチョイ負けの結果。この「チョイ負け」という奴は、まあ本当にたちが悪いというか、何というか・・・。忍耐の日々が続きます、ハイ・・・。

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    2017 安田記念・東京芝1600m~強さとは?脆さとは? 

                      DSCN2463 - コピー(絵:ノグチアキラ)
        
    6月4日。春のG1最終戦「安田記念」。
    3月の終わりの高松宮記念からずっと続いてきた古馬のG1ロードと3歳馬によるクラシックロード。その最終戦となる安田記念である。今月の末に最終最後の宝塚記念が行われるが、気分は安田記念で一括りとなるのが人情というものだろう。

    この2か月、ファンとして善戦していれば気分爽快、ファイティングスピリットも維持されているが、悔しさが募っていれば、もうそろそろ競馬に疲れていることもある。
    私?何となくしのぎ切って、まあ取り敢えず可もなく不可もなく、安田記念を迎えたのだったが・・・。

    安田記念での狙いの伏兵馬3頭は、すでに決めていた。

    まずは、昨年の覇者ロゴタイプ。昨年の前半5Fを35秒で逃走し、ラスト3Fは33秒9で決め、あのモーリスをも寄せつけなかった馬だ。4年前の皐月賞はおおいに弾けて差し切ったが、今は、先頭にこだわる逃げ馬がいれば好位から、いなければ自ら先頭に立ってレースを作る完成した競走馬となっている。出走馬を見渡しても、ロゴタイプを押さえて逃げようとする馬は見当たらず、自らのペースでレースを支配すれば、おそらく好走は間違いないと読んだ。

    2頭目は、グレーターロンドン。爪の不安からまだ完調には・・?という説が流れていたが、これまでの完勝とも言うべき連勝の過程を知る限り、初めてのG1挑戦での未知なる魅力に溢れていたし、最終追い切りをGCで見て、私自身は大丈夫と見なした。

    そしてレッドファルクス。6F戦でのG1馬だが、何と言っても前走道悪の京王杯での上り33秒7の破壊力のある決め手は、乗り方ひとつで、たとえ良馬場のマイル戦でも通用するものがあると信じた。鞍上はミルコ・デムーロでもあったし。

    この3頭の伏兵を見出して、それに対抗し得る馬を選べば、安田記念は大丈夫だと信じて疑わなかったのである。

    まあ、ここまでの推理は大正解だったのだが、ここから迷路にはまり込んで行ったということだ。

    前記3頭を凌げる馬はどれか?と考えると、考えれば考えるほど、ここまで尽くしてくれた贔屓の馬が、私の頭の中で浮かび上がってくる。それもまた人情というものだ。

    より冷静に言い切れば、私自身は、競走馬の強さと言うのは、自らにどんな不利な条件下であっても、アクシデントに見舞われない限り、少なくとも掲示板は外さないという強さだと思っている。

    だとすれば、この条件に当てはまるのは、イスラボニータとエアスピネルしか、私には考えられなかった。
    蛯名正義からルメールの騎乗交替してからのイスラボニータは、スムーズに馬群を捌いて馬群の中から突き抜けてくればいレースを繰り返していたし、距離不向きの菊花賞でも3着を確保したエアスピネルの奮闘にも高い評価を与えなければいけないだろう。
    すべての条件が揃って、言い換えればすべての条件が御膳立てされて好走するサトノアラジンのような馬には、今回は少しも眼が行かなかった。サトノアラジンの前走不得手の道悪だった京王杯9着惨敗には、何の印象も感じられなかったからである。

    それでもイスラボニータとエアスピネルが、マイラーズCのように手を取り合うように並んでゴールインする光景は、何となくイメージできなかったので(こんなイメージが私にはかなり重要な要素でもある。推理が不適中のときは、どことなく心にたとえて言いようのないモヤがかかるのだ)、この両馬から伏兵3頭に馬連で流したのが結論だった。

    ゲートが開いて、7歳馬田辺裕信ロゴタイプが堂々と逃げた。
    ラップタイムは、前半3F33秒9。5F57秒1。昨年より5Fで約2秒早いペースでレースを作り、それでもゴールまで粘ったのである。
    決着タイムは1分31秒5。結果は同タイムのクビ差2着だったが、マイラーとしての完成期を、7歳のロゴタイプは今改めて迎えているのかも知れない。

    4コーナー手前地点から、私はもう諦めていた。中団にいたルメール・イスラボニータも、後方に待機策を選んだ武豊エアスピネルも、これではホームストレッチで無事には済まないと予想されたからだ。
    案の定、前を行く馬たちに進路を阻まれて、両馬共にスムーズには馬群を捌けず、名手にあらざる様な不様な騎乗となってしまった。古馬G1のマイル戦なら、事あれば他馬をも弾き飛ばす威圧感ある主張をしなければ馬込みを容易に抜けられはしない。
    そもそも何故、2頭共に先行力ある脚を伸ばさず、後方に控えたのか?私には本当のところは判らないが、見ていて爽快感が生まれる騎乗ではなかったことは間違いないだろう。それでも最後にエアスピネルが掲示板を確保したことだけは褒めてやりたい。

    確かに、ロゴタイプの作ったハイペースで、掲示板に乗ったのは粘り抜いたロゴタイプ以外はすべて後方の馬たちだったのも事実だが、進路を阻まれてしまったのは、私にはそこに至る意識の周到な準備が為されていなかったと、敢えて名手に憎まれ口を叩いておくことにしよう。

    ともあれ春のGI戦線は、アッという間に終わった。反省もあればゴール前の歓喜をも得た。
    痛恨だったのは、NHKマイルCだったが、このレースから教訓を得て、より一層レースの流れを意識するようになったのも事実である。この春、私自身のその進化は大きいことだったと思う。

    でもふと気づくと、あらま2017年はもう半分ほどが過ぎ去っている。
    この時の流れの速さには、困ったものだ。まだ大事なことは何もしていないのに、時間だけがどんどん私を置き去りにして過ぎていくようだ。うーん・・・。
                     
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